【ザ・ファブル　The second contact】85話「委ねる男・・・・。」保身しか考えていなかった男方・・・・。

夜の太西公園で元ファブル対ルーマーの戦いに決着がついた。
ルーマーの男はケジメをつけるべく、松代に敗北を報告。自分の身の始末は松代に任せ、松代は消すことを選んだ。
殺しをしてしまったアザミもケジメをつけさせられ、街を出てユーカリと別々に暮らさなくてはならなくなった。アザミは受け入れ、怪我が落ち着くであろう2週間、太平市で過ごすことになった。

あらすじ

佐藤の部屋

佐藤がリビングでテレビを見ている。ミサキは台所で料理している。

テレビからは、紅白組の組長・松代博文が自ら「人を殺した」と通報して出頭したというニュースが読まれていた。

佐藤に電話がかかってき、出るとアザミからだった。

アザミ「松代め―――法の傘の下に逃げやがった！」
ユーカリ「これで紅白組も終わりだな・・・・」
アザミ「松代に―――殺られたのは　やっぱりルーマーのあいつか・・・・？」

佐藤「あ―――間違いない―――　帰る場所があるなら早まった事はするなと言ったが―――・・・・　ダメだった―――」

佐藤はもう少し会話をして、電話を切る。そしてキッチンにいるミサキを見る。ミサキは料理を続けている。

住宅街

タクシーがマンションの前に止まり、帽子を被ってメガネとマスクをつけて顔を隠しているかのような男が降りてきた。歩きだすと、電話がかかってきて出る。「はい―――」

「そんな服で何やってんスか？　木志田さん―――　本部長のマンションの前で――――・・・・」

顔を隠していた男は木志田だった。電話をかけてきた相手は鷹一で、すぐそばの車の中からだった。鷹一「久しぶりにちょっと話しましょうや！　迎えに行きますよ―――」。

運転手の高橋は、すぐそばに立っている木志田に車を寄せた。

車は、海老原と松代がクロと川萩の喧嘩を話し合った埠頭に止められた。

鷹一「ここから始まったらしいですよ―――　今回の紅白組との抗争―――・・・・　だったらここで終わらせましょうや―――」

鷹一は松代が自首したことを話す。木志田はしらを切るが、鷹一は松代と密会していた事は知っていると突きつける。木志田は抗争の仲裁をしようと動いていただけで、今も本部長に筋を通すために会いに行こうとしていたと言う。

鷹一「筋―――ッ!?　筋通すんやったら組長代行の俺に違いますか？　本部長の命　狙っとったんでしょ？　あんたは自分の条件の良いほうにコロコロ動く―――　ついでやから全部言ってやるよ」

鷹一は、木志田は自分の保身しか考えず、部下をないがしろにしてきたことをはっきりと言い放つ。

鷹一「自分でもわかってるんやろ？　上に立つ器やないって――――」

木志田「オイッ！！」

木志田が銃を出して鷹一に向け、鷹一も銃を出して木志田に向けた。

鷹一「あんたが組にいちゃ―――　全員迷惑なんや！」

木志田は運転手だった高橋も銃を出して向けていることに気付き、銃を投げ捨てて降参する。「ホナ　撃てや―――　殺れや！！」

鷹一は銃を引っ込め、高橋にも銃をおろさせる。

鷹一「ホラ―――　本気になったら肝すわりますやんか―――　昔の―――木志田さんはカッコよかったですよ―――　豪快で情があって―――・・・・　そういうトコ忘れんといてくださいよ―――　小さい組なんですから―――・・・・・」

木志田は少し考え「俺を殺るつもりないんやったら　ここでおろしてくれ。一人になりたい―――」

木志田は車を降り、車はその場を離れた。木志田は無言で海を見つめる。

感想

人には委ねなかった男・・・・。

佐藤がニュースを見ていると、松代が殺しで自首したというニュースが流れた―――。

これはニュースだが、ワイドショーではこの話題を取り上げないのか―――？　ジャッカル富岡がコメンテーターとして―――コメントしているところも見たかったな―――。ここでその姿が流れないなら、コメンテーターになった意味とは・・・・。

そして―――松代が出頭～!?　勝つ手立てはもう無い、暴れたことで上からケジメをつけろと言われる前に―――ってことか―――？　バックにいる大手の組に消されるより刑務所の中を選んだ―――。被害者であるルーマーの男は結婚していたが、ルーマーの男のほうも仕事で消された場合の時を考えて身元がバレないような何かしらの細工をしていそう・・・・。被害者の身元がわからないなら、どういう内容の口論だったのかを松代は都合よく創作出来る―――。松代はここまで読んでいたのか―――？　先の先を考えたか―――？　でも現在63歳で仮釈放でもかなり先の先の先になってしまうし、出たところで消されるか、相手にされないかだから先の先が無いような―――。この先一生刑務所暮らしか―――？　とにかく自分が生き残ることだけを考えて出した結果か―――。洋子を襲った時は異常性を見せていたが―――なんか小さくまとまってしまったな―――。組長でもなかった宇津帆でも悪者としての矜持をもって最期を迎えたのに・・・・。

委ねられなかった主人公・・・・。

佐藤はルーマーの男に早まらないようにと言ったが、説得に応じずに松代に見の危険を晒してまで報告に行った―――。その結果、消された――――・・・・。

「帰る場所があるなら早まるなと言ったが―――」、そして佐藤がミサキをチラッと見ている―――。シンクの蛇口の前で擬音がずっと「ジャー」だから水道出しっぱなし―――？　佐藤は猫舌だから出来立てのアツアツの料理を流水で冷やしている、料理は冷えているけど愛情こもってる！―――ってわけではなく、佐藤の電話の声を聞こえないようにわざと流し続けたか―――？　待っていた間は不安だっただろうし、それこそ簡単に水に流すとはいかない―――。不安を洗い流して安心させてあげるのは佐藤だけだが・・・・。そして佐藤が今まで仕事で消してきた人達にも帰る場所、帰りを待つ人がいたわけで―――佐藤はそれを改めて実感している―――？　これが『second contact』なのか―――？

アザミは帰る場所、大事なユーカリが大変なことになってしまったので自暴自棄になって、ボスに消されてでもいいからルーマーを全員殺すと言い出した―――。
もしミサキになにかあったら佐藤は―――感情的になって怒りに身を委ねるのか、割り切って冷静でいられるのか―――。どうなるか見たかったな―――。こういうのは主人公が試されたりするものではないのか―――？

委ね合う男達・・・・。

鷹一が事を終わらそうと、木志田を車に乗せ、真実を突き出す―――。突きつけられた木志田は追い詰められ、銃を取り出すが―――

銃出すの早いなぁ～。鷹一は先に座っていたから、右足と座席の間に挟んで隠して置いて直線的に出せるが―――木志田は右手をアームレストに置いていたのに、そこから右のポケットに手を突っ込んで銃を掴んで出すという手間がかかる―――。消されるかもと思ってただろうから、いつでも銃を出せるようにはしていただろうけど―――それでも変態早撃ちガンマン並の速度―――。これぐらい早いってことは、昔は木志田もこういう修羅場をくぐり抜けてきたんだろうな―――。これくらいの早さの決断力・実行力を示していれば―――・・・・。

高橋も銃を向けていたので、木志田は観念した―――。鷹一は木志田を消さず、また組のためになるように動いてほしいと言った―――。

鷹一は許すのか―――。裏切ったのにまだ組に役に立ってくれと―――。松代は自分の身を守るために組を捨てたが―――鷹一は自分に銃を向けてきた相手でも許す器のデカさを見せた―――。もちろん、木志田がまだ立ち直れると見抜いたからでこその許しであるが―――人を見抜く力、洞察力があるところも見せている―――。そして自分が撃たれるかもしれないのに相手を試すという度胸もあった―――。代行じゃなくてもう組長が務まりそうにまでになったな―――。

これに木志田は報いるか報いないか―――。出した決断は―――

一人で考えんのかいっ！　決断が遅い・・・・。松代に焚き付けられて動き、鷹一に焚き付けられて動き・・・・ホントにコロコロ動くなぁ～。でもまぁ、心の内ではすでに決まっているだろう―――。消されるかもと思いながらも車に乗ったのは、鷹一の判断に委ねようという覚悟も少なからずあった―――。車を降りる時に鷹一が見た背中は―――昔の木志田とは違って小さく見えただろう―――。本部長や松代からも色々言われてはいたが―――今回は後輩が命を張ってまで忘れたことを思い出させてもらって、発破かけられて、「小さい組なんですから―――・・・・」とまだ頼りにしてますよというようなことまで言われて―――自分の帰る場所は昔の自分だったと気付いただろう―――。松代も木志田も保身を第一に考えていたが―――松代は最後まで人に委ねなかった―――。木志田は鷹一に委ねるという変化を見せたが・・・・。再び背中が大きく見えるような男になれるかは―――ここで降りずに、一人にならずに―――・・・・ここで一旦殺されたと思って生まれ変われれば―――今度は他人に委ねることは出来ない―――。