年が明けた太平市―――。
二郎は砂川に依頼された暗殺を着々と進めていた。
街中で山岡を見かけて、嫌な予感がしている洋子は警戒し始めていた。
あらすじ
二郎の家
二郎が暖房器具で暖めていた『きのこの栽培ブロック』。
栽培ブロックにはキノコが生えだしていた。
キノコを切り取り、ブロックに埋め込んでいた落花生も掘り出した二郎は、それを顕微鏡で観察しだした。
そこに山岡が帰ってきて、二郎は首を振るが、山岡は同じく顕微鏡を覗く。
二郎は再びキノコの栽培セットを暖めだす。
山岡は砂川のクーデターを切っ掛けにどうすれば面白くなるか、筋書きを練りだす。
時間が経ち、キノコのカサから黒い液体が垂れだした。
その液体を採取して顕微鏡で見る二郎。
それを見た二郎に笑みがこぼれた。
それぞれの夜
洋子は一人、家に居て飼っているハムスターのオーイに餌を上げていた。
物音が鳴り、小型のナイフを取り出して警戒する洋子。
が、何事もなかった様子。
洋子「気にしすぎか・・・・」
クロはボクシングジムで汗をかいていた。
真黒組の浜田組長は、洋子に組み直してもらったルガーを磨いていた。
真黒組の若頭の蛯原は自宅で鍋を作っていた。
佐藤は自宅でジャッカル富岡出演のドラマを見ながらイラストを描いていた。
テレビにCMが流れる
「ジャッカル富岡――― 初出演――― 生か死か・・・・ 『無敵の刑事』!! 今春ロードショー」
佐藤「え? え?マジ!?」
感想
今夜はか弱いヒロインらしい洋子・・・・。
ハムスターのオーイが久しぶりに出てきた~♪ ちゃんと世話してたんだなぁ~。
山岡を町で見かけて以来、警戒している洋子はちょっとした物音でもナイフを構えだす―――。そうとう怯えてるなぁ―――。前までは佐藤やクロが訪ねてきても構えてなかったのになぁ―――。組長と川頭が訪ねてきた時にはベロベロに酔っていたのに―――。酒が主食の洋子が今はシラフ―――。それに今までは恐らくポケットに小型のナイフを忍ばせることもしていなかっただろう―――。かなり警戒している―――。酒を控えるようになって健康になるかもしれないが―――。山岡の件が片付いた時、洋子が明るく飲めるようになっていればいいが・・・誰かへの献杯になってしまうんだろうか・・・・。
オーイの世話をしていた洋子が、佐藤の世話になるようなことが起こるんだろうか―――? 山岡が佐藤をラスボスと設定していたから、山岡側が佐藤と対面するときは事態は大詰めになってそうだが・・・・。洋子は宇津帆編に続いて、今回も囚われのヒロインに・・・・?
キャストにのっていない二郎・・・・。
二郎が、落花生を埋めていた栽培ブロックから生えたキノコの菌を見ている―――。毒殺か―――。顕微鏡を覗く時にはマスクをしているから、少量でもヤバイ毒か―――? 山岡はマスクしてなかったけど―――! ホントに山岡は恐怖心がないなぁ―――。
この毒をどうにかして組長か若頭に盛るんだろうけど・・・・どうやるんだ~? 食べさせたら終わりなのか、それとも吸引だけで効く毒なのか―――? 証拠を残さずに仕事をする者だから、ターゲットとはなるべく接触は避けたいはず―――でも人通りが少ない路地を見て「いいねぇ~。こうゆう路地」と言っていたから、監視カメラが無さそうな所で毒をふくませるんだろうか―――?
山岡の構想する感動巨編に、二郎はキャストとしてのらずに「お前は黒子だ」と言われたが・・・・このまま証拠も残さず、感動巨編にも登場せずに消えられるだろうか―――? 組長か若頭を消しても、そのまま隠居せずにファブルを消しに動きそうだな~。
裏方として我慢出来ずにキャストとして登場しそう―――。恐らく山岡もそれを想定してるんだろうなぁ―――。
脇役のクロ・・・・。
二郎のように、名を残したがっているクロ―――。ボクシングジムで鍛えているが、スタミナは無いしトレーナーの攻撃を避けられないクロ―――。このまま山岡の感動巨編を避けられずに巻き込まれて痛い目に会ってしまうんだろうか―――?
どちらかが退場すればオープニング・・・・。
組に代々伝わるルガーを磨く組長―――。組長が二郎に襲われた時に、このルガーが役に立てばいいが―――組長が受け継いできたルガーを大事にしていた組長の命を守ってくれた!という展開は映画にありそう―――。だが、組長は「この銃を撃った事はない」と言っていた―――。古いから撃つと銃が暴発したりするからだろうが・・・・。洋子が―――ヒロインが直してくれた道具が後々役に立つっていう展開は映画ならありそうだが、このヒロインは酒飲みヒロインだからなぁ・・・・。
鍋に調味料を入れて味を整えようとしている若頭―――。今まで組にマズイことが起こらないように整えるように動いてきただろうけど、砂川の動きは掴めなかったか・・・・。小島が砂川とイザコザを起こした時に若頭は強引に幕引きにしたが、砂川がそのまま黙っている性格だと思ってたんだろうか―――。ファブルのお陰で敵がいなくなって平和ボケしたんだろうか―――? 平和に暮らしていた『昔は戦士』だった男が、戦うためにもう一度立ち上がるっていうのは映画的だが・・・・。映画のそういう展開には、敵を退けるもののその戦士も力尽きるっていうパターンもあるなぁ・・・・。
漫画的に登場回数が低くて読者からも親しみが薄い組長が消されそうだけど、若頭が消されることで読者を驚かせるっていう手法もあるからなぁ・・・・。山岡も認める二郎(今回の話では山岡は背中を見せて寝たりまでするほど二郎を信頼している)の作戦が未遂で終わるってことは無いだろうし、どちらかが消されるんだろうなぁ・・・・。
ラスボスの佐藤・・・・。
さすがラスボス―――普段通りに生活している―――。描いているのはバレンタインデーのチラシのイラストか―――。
今回のイラストも描かれている人物は笑顔になってる―――。怪しい人物を見かけても、組織の人間が―――ボスと対等に話す男が町を彷徨いていても、まだ余裕か―――。それともどんな時でも平常心でいられるように訓練したのか―――? 佐藤の天性のもので、洋子との違いでもある部分なのだろうか―――? どんな時でも平常心を保てるのは、焦りからのミスなども減らせるし、殺し屋としてまさに天才と言える素質がある―――。しかし相手は恐怖心が無い男―――。恐怖心がないということは、追い詰められても動揺からのミスはしないと言う事―――。読者にとって今回のラスボスである山岡も、殺し屋としてうってつけの素質を持っていると言えるだろう―――。
チョイ役のジャッカル富岡・・・・。
ジャッカル富岡はこの『ザ・ファブル』のチョイ役だと思ってたが・・・・映画主演て―――凄い! このマンガのチョイ役のジャッカルが、今回の話では最後に全部もっていった―――!! 一発屋ぐらいだと思ってたんだけどなぁ~。一発屋で映画主演はそうはないぞ~。本格的に売れてるのか~? もしかしてジャッカルは実力ある~? それを佐藤は早くから見抜いてたのか~? 平常心でいられる佐藤を笑わせたりするぐらいだから、笑いのプロに違いない―――!
無敵になりたいクロ―――。名を残したいクロ―――。佐藤に認めてもらいたいクロ―――。その反対に―――
『”無敵”の刑事』になったジャッカル富岡―――。映画主演までしたことで芸能界に名を残せるであろうジャッカル―――。佐藤も認めているジャッカル―――。同じ脇役でも差がついてしまったなぁ・・・・。
封切り寸前の山岡・・・・。
人が死ぬところを映画のように見ている山岡が作る感動巨編がどうなるか―――。山岡は我慢出来ずに初出演してしまうんだろうか―――? ジャッカルのセリフ「俺にだって・・・弱点はあるんだぜ~・・・」
山岡の長所でもある恐怖心が無い事が、好奇心が抑えられない弱点にもなって出て来る―――? プロデューサーぶっているけどキャストが足りないなぁとか言いつつ・・・・
「プロデューサーなのになんで俺もやね~ん!!」とか言いながら、言葉とは裏腹に嬉しそうに参戦しそうだなぁ~。山岡が佐藤の前でこのギャグをやれば、佐藤が爆笑している内に倒せそうだけど―――。
ファブル―――寓話の『鶴の恩返し』では、お爺さんが好奇心に負けて約束を破り機織りしているところを覗いてしまい、ツルが去ってしまう―――。山岡も好奇心に負けてボスとの約束を破ったことで大事な物―――自身の命を失ってしまうんだろうか―――?