佐藤はレンタルおっちゃんの仕事で、息子の代わりに母親への誕生日プレゼントを選んで欲しいと頼まれていた。
クロは「強くなりたい」と言ってきたミサキに護身術として不意打ちや金的、威嚇顔などを教えていた。
あらすじ
公園
自転車で公園を通って帰っている佐藤。途中、自転車を止めて上着を脱いで畳む。その最中、レンタルおっちゃんの依頼「息子の代わりに母親への誕生日プレゼントを選んで欲しい」を思い出す。
そして何気なく周りを見ると、親子連れが楽しそうに過ごしている姿が目に入った。
キャンプ場
ミサキはクロが出した特訓メニューを終わらせた。
ミサキ「もう膝がガクガク――― 脚パンパン!!」
クロ「金蹴り―――100本―――!! 左右で200本ですよ! 凄いですミサキさん―――!! あとは―――ミット打ちに反復横跳び! 威嚇顔まで!」
ミサキ「久しぶりに運動らしい運動したかも―――」
クロ「いやでも―――めっちゃ体力ありますね~ ビックリしましたよ! よくジョギングしてましたもんね~ たまに見かけてたんスよ――― あ~ あの娘また走ってるって―――」
ミサキ「あ~・・・・ バイト先からバイト先へね――― バイト掛け持つと体力もつけとかないと―――・・・・ なんか不安になっちゃって―――」
クロは海老原から聞いた話を思い出した―――
海老原「そしてミサキも過労で何度か倒れる――― 負の連鎖のどろ沼や―――」
そして高橋の運転で町中を移動している時に、走っているミサキを見つけた時のことを思い出した―――
ミサキを山城のタレント事務所に紹介したが仲介料をいくら貰ったかも忘れていた。
クロ「どうせ飲み代ですぐ消えたし―――・・・・」
高橋「タレント活動とか もうやってないんスかね~・・・・」
クロ「今はもうアレやろ―――・・・・ オリンピック目指しとんやろ~」
高橋「プゥ! 適当っスね クロさん―――!!」
クロは顔を伏せ、うずくまってしまった。
ミサキ「え? 何!? クロちゃん・・・・ そんなに疲れたぁ・・・・? オ~イ!」
そこに佐藤が帰ってきた。佐藤のほうを見たクロの目には涙が流れていた。
落ちているグローブを見た佐藤「ん・・・・? なんか凄いパンチでも鼻にもらったのか?」
佐藤の肩にしがみつくクロ「兄さんッ!!」
佐藤「何・・・何・・・・? 気持ち悪いぞクロちゃん―――」
クロ「その通りです! 俺なんかキモいヤツなんスよ~!! どうしようもないポンコツのアホなんス―――!! 兄さぁ~ん!!」
佐藤はミサキのほうを見るが「いやいやいや―――・・・・ ちょっとケンカ・・・・あ・・・・ボクシングを教わってて―――・・・・」
クロは佐藤から離れ、自分のキャンピングカーの中に入っていった。
戸惑って目を合わせる佐藤とミサキ。もう一度、クロのキャンピングカーのドアを見る2人。
感想
負の連鎖しか知らなかった男・・・・。
帰り道の公園で自転車を止めてパッカブルジャケットを脱いで畳んでいる佐藤―――。依頼「息子の代わりに母親への誕生日プレゼントを選んで欲しい」を思い出す―――。

妹は知っ・・・・いや、俺は知っている。ジャケットにバッグが付いていて畳んでそのバッグの中に入れてコンパクトに出来るジャケットのことを―――。それはパッカブルジャケット―――俺はモーニングで連載されているアパレル業界を描いた漫画『アパレルドッグ』を読んでいるから知っている―――っ!! まぁ、これはリュック形態になるヤツやけども・・・・。佐藤がその上着を脱いでみると―――殺し屋という上着を脱いでみると―――
佐藤がふと周りを見ると、親子連れが楽しく過ごしている姿が目に入ってきた―――。

佐藤は「俺、あのくらいの歳の頃――― 山の中に置き去りにされてカブトムシの幼虫食べてたのに―――」とか思ってるんだろうか―――? 親子連れのように、あのボスと手を繋いで公園を散歩したかった―――とか思っているんではないだろうけど―――。
当然ながら今までも家族連れが目に入ったことはあっただろう―――。でも今回は違うように見えてくる―――。今までは人を殺して報酬というプレゼントをもらっていた―――。今回は人が誕生した日を祝うためにプレゼントを考える―――。
負の連鎖の一つになっていた男・・・・。
ミサキはクロが出した訓練メニューを終わらせた―――。

金蹴り左右で200回! 1人に左右で2個しかないのに~ スペアも無いのに~ 何人分潰す気や~。それに威嚇顔はマジでやるのかよ~。ミサキがギューかサクに襲われそうな時にメンチ切る顔されても・・・・本当ならピンチでハラハラする場面なのに緊迫感が無くなってしまうなぁ―――。もしサクがミサキの前に姿を表した時、ミサキが威嚇顔をやりだしたら―――

アカン―――っ! シリアスなシーンがギャグシーンになってしまう―――ッ!!
ミサキに体力があった話から、ミサキが町中を走っていた時の話になり、クロはその当時のことを思い出して―――
仲介料がいくらだったかも忘れ、それも飲み代ですぐ消えた・・・・。まぁ豪勢にパッと使ってそうな感じだったけど・・・・。
ミサキが町中を走っている姿を見かけた時、海老原は―――

山城や野村との事が終わってからということもあって、海老原は優しく見守っている―――。しかしクロは―――

危ない芸能事務所だと知っていても仲介料を貰えれば気にしない―――。その後にも小島が砂川のシマ荒らしになるにも関わらずデリヘルを始めようとしている時、ミサキを客寄せパンダとして使えると推薦していたこともある―――・・・・。
佐藤はプロの仕事として人を殺していた―――クロもヤクザの仕事として女を商品のように扱っていた―――。人を物扱いをしていた2人は―――・・・・。クロはその事に気付いたようだが―――。
やってきた事に後悔の涙を流すクロ―――。そして帰ってきた佐藤の肩にしがみつく―――。

「気持ち悪いぞクロちゃん―――」っ! 逆に今までは気持ち悪くなかったのか~? 佐藤が人に対して「気持ち悪い」って言葉を使ったのを初めて見たような―――。よりによって後悔の涙、改心した涙を流している時に気持ち悪いと言われてしまうとは・・・・。
クロは今までやってきたことを振り返った―――。咄嗟に佐藤に泣きついたけれども、いつまでも頼ってるのはダメだと決心して離れた―――? いろいろあった事は取り消せないけど―――今は笑顔になってくれるように頑張る―――笑顔が見れれば それでいい―――そういうトモユキパパの心境に達すれればいいが―――。