週刊ヤングマガジンで連載されている野球マンガ。原作は大沼隆揮。作画はツルシマ。
『シキュウジ』のあらすじ
2人の野球の天才がいる。天城雄大と佐藤さとる。
天城雄大は親が元プロで厳しく育てられ、小学生の頃から天才と周りから認められていた。が、雄大本人は父親に認められたいがために一心に気を緩めることなく練習してた。
雄大が小6の時に対戦した相手の中に佐藤さとるがいた。初対戦は雄大の圧勝で、雄大はさとるのことは何も覚えていない程度の存在だった。が、佐藤さとるは努力の天才だった。さとるは雄大を目標とし、我武者羅に病的に努力して追いかける。
その二人が高校生になり、やがて甲子園で相まみえ…
感想
血を吐くほどの努力を…と言われることがありますが…このマンガは本当に血を吐いてます。
こっちは歯が抜けました…
歯が抜けるほど頑張っているのに、チームメイト達は―――
普通! 汗すらかいてない! いやいやいやいや。一人に任せすぎだろ、こいつら。
猛暑・酷暑の中で高校生に運動させるのはどうなんだ?と騒がれる昨今… このマンガの世界の高野連はどうなってんだ?
このように登場人物は終始ハイテンションで進んでいく。
ハイテンションを際立たせるための、静の部分は―――
文字数の多さ! ナレーションの多さ!
ハイテンションな部分は、動きがないコマでも―――
縦線が多い! これからこの漫画にはどれだけの縦線が描かれるんだろう。
第1話が掲載されたヤングマガジンのページ下には…
「単行本第①巻、爆速で予約受付開始。」!? まだ第1話の途中、甲子園で2人が対決するというシーンを描いてから6年前に遡るところなのに、読者はもう単行本を予約するだろうと編集は判断! 編集もテンション高え! どんだけ前のめりなんだよ!
第1話は正直、カタログを見せられているような感じ。スペックがどれだけ凄いとか数字だけを見せられている感じ。怪物とか神の子とか言われてもどういう所が怪物でどういうところが神の子と呼ばれる所以なのか、まったく分からない。それはまずはクライマックスを見せる手法で、2人が高校球児になっていて甲子園で対決シーンから描いてあるから。そこから6年遡り、この2人の出会い、怪物らしさ、神の子らしさを見せてくる手法がゆえ。
2話以降、天城雄大の野球にかける異常性を見せられるが、佐藤さとるがそれを軽く超えてくるほどの異常性を見せてくる。
あれだけ異常に見えた天城雄大がまともに見えてくるほどに。その異常性で佐藤さとるはどんどん実力をつけていき、天城雄大は追いつかれないように努力をする。天城雄大は父親を追いかけて前を向いていたが、後ろから追いかけてくるやつがいる。追いかけ方が尋常じゃないので恐怖を感じるほど。このおいかけっこが面白い。天才と言われてたのに追いついてくる奴がいる!? 自分は異常に練習していたと思ったのにさらに異常に練習している奴がいた!?という怪物に追いかけられる恐怖を見せてくる。佐藤さとるはどこまで追いつけるんだろう? 天城雄大はどう凌ぐのだろう?と癖になってくる。
第1話の冒頭で高3の甲子園で対決することは判明しているが…第2話で2人の”殺し合い”とまで言い切ったものは何なのか? そしてタイトルの「シキュウジ」とは? 佐藤さとるは父親に一度も会ったことがないとあったが―――佐藤さとるは天城雄大の父親の私生児なのか? 2人は腹違いの兄弟なのか? もしそうだとしたら、謎が判明した時の漫画のテンションは恐ろしいほどのテンションだろうというのは間違いない。