ギューとサクの殺し屋兄弟は、ファブルを捜して元アリの男に接触していた。
オクトパスで住み込みで働いている洋子は、自慢の記憶力が落ちてきている可能性を危惧していた。
あらすじ
鮫剣組の元アジト
ギューは元アリの黄色いカラスだけでなく、アリ仲間にも連絡して少しでも多くのファブルの情報を集めようとしていた。
ギュー「あの夜の出来事をもう一度再現できるくらいの――― ファブルという連中の動きや―――形態を少しでもシミュレーションしたい。とりあえずちょっと話すだけでも10万出します! 話の内容によっては・・・・もっと出したっていい―――!」
黄色いカラスは承諾し、何人か連絡がつく元アリに話をしてみることにした。
本を読んでいた和湖は時計を見て現在夜9時前だと分かり「もうこんな時間かよ―――」と言って、一人屋上に上がって望遠鏡で月を眺めていた。
オクトパス
風呂から上がった田高田社長。ソファで座って考え込む洋子の姿が目に入った。
田高田社長「なんや・・・・? ヨウコ――― どうした・・・・」
洋子「しィ~」
田高田社長「あっ・・・・ ああ はい・・・・・」
田高田社長は気を使って席を外した。
洋子は自分の記憶力が落ちてきてのか、試すために兄やミサキ、クロ、河合、高橋、海老原、真黒組、バー・バッファロー、焼肉屋、ナイフショップなどの電話番号を思い出していった。
洋子(番号は・・・・ OKIねぇ~ ちょっと角度を変えて・・・・ アタシの歴代の名前―――)
洋子は本名の『神田麗』、偽名の「山本ゆみ」「上田舞」「山田瞳」を思い出していった。
洋子(もォ~ 嫌な事も思い出すわねぇ~・・・・・)
田高田社長は寝室である屋根裏部屋で熟睡していた。
洋子はマジックハンドを使って、田高田社長の精力チェック。ギュッと握ると田高田社長は「痛たッ・・・・!!」と声をあげたがまた眠りに入っていった。
洋子はマジックハンドを田高田社長の手の甲に添え、温かい眼差しで田高田社長を見つめる。
洋子(そう―――・・・・ 今は佐藤洋子―――)
感想
情報を掴みたい男・・・・。
ギューは元アリの黄色いカラスに他のアリ仲間にも連絡をとってさらに情報を集めたいと話した―――。黄色いカラスによると、あの夜の事は誰も話したがらないし、トラウマになって自殺した奴もいるらしいが―――ギューからちょっと話すだけでも10万、内容によってはもっと出すと言われ、連絡を取ってみることにした―――。
トラウマになって自殺―――。これはファブルの携帯から音波を出して気分を滅入らせて自殺させる―――ファブルのマイクロ兵器の影響か―――? ルーマーの男や、雇われた殺し屋達ではなく、アリにもわざわざやったのか―――? アリの中でもあの夜にファブルについて見たり聞いたりした奴が―――アリからしてみると無価値な事に見えても、無意識に見たり聞いたりしていても、そこからファブルに辿り着けるような事を知った奴が消された―――? 単純に人が死ぬところを見たのでトラウマになった可能性もあるが―――・・・・。
元アリ達を集めてもちゃんと記憶してるのか―――? 思い違いもあるだろうし、洋子でも記憶が怪しい事が出てきている―――。さらに金目当てで適当な事も言いそうな可能性も―――・・・・。多くの証言を集めて、ある場面で情報が食い違った時には証言が多かったほうを信用していくしかないか―――。ルーマーの男や、雇われた殺し屋達が生き残っていればそいつらから聞き出せたが―――あいつらは一般社会に戻って真っ当になるような奴らでもなかったし、そういう意味もあってボスに消されたんだろうな―――。
ギューの資金源はどこにあるんだろう―――? 和湖が父親である鮫剣組の組長の遺産を相続した―――? でも小さな組の真黒組と抗争していたぐらいだし、佐藤が一人で事務所に乗り込んで全滅させたぐらいだから、そんな大きな組ではなかっただろうし―――兄弟の殺しでの仕事の蓄えか―――? ファブルでは組織の取り分もあるから―――佐藤は6年で71人やって約5千万だった―――。兄弟だけでやっているから労力はかかるが、そのかわり取り分も多い―――。金には困ってなさそうだな―――。
心が澄んで
内面が良く見える時・・・・。
和湖は屋上にあがって、望遠鏡で星空を見ていた―――。月に手を伸ばし、掴もうとしていた―――。

宇宙の本を読んでるし 宇宙に興味がある―――? 月を見ている時の和湖は年相応の表情しているな―――気を張っていない、素の表情をしている―――。いずれ私が月を手中に収める!という大きな野望を持っているのかもしれないが・・・・。屋上で一人、素になった時に行う行動で人となりが出るんだろうな―――。和湖は星を眺め、佐藤はサンマを焼いて平和を実感したり、洋子は両親の仇討ちのために自主練したり―――そしてサクは殺した奴の腕時計を眺める―――。やはりサクは異様だな―――。
記憶をしている女・・・・。
洋子は自分の記録力低下を危惧し、今まで知り合った人の電話番号を思い出していった―――。
洋子の記憶力低下は、ボスが密かに普通に戻してやろうとマイクロ兵器を使っているとかしてないだろうな―――? それにしてもこの記憶の仕方は―――

ミサキの電話番号はこの顔とセットで番号を覚えてるのか・・・・。クロや他の人の顔も―――・・・・。こういう記憶術か―――? 変わった顔、忘れられない表情とセットで覚えることで、より記憶に刻むことが出来る―――。何かのイメージとセットで覚えると記憶しやすいっていうのは聞いた事がある―――。でもこの記憶術を使っていると、自分の知人は変人ばかりだと思ってしまわないだろうか―――?
洋子はさらに本名や今まで使ってきた偽名を思い出していった―――。

本名は神田麗っていうのか―――。本名を名乗っていた時は10歳まで―――そこからは組織に入った―――。この顔は10歳の時の顔か―――。そして偽名は「ゆみ」に「舞」に「瞳」―――。キラキラネームは一個も無いな―――。洋子はそんな年齢ではない―――? それとも名前をつけるボスがそんな年齢ではない―――? まぁ、目立たないように平凡な名前で、ということだろうな~。名字も「山本」「上田」「山田」だし―――。思い出した嫌な事は、家族を失った事―――以外にも色々あったんだろうな―――・・・・。
洋子は、熟睡しているタコちゃんの股間をマジックハンドで精力チェック―――。

これはもう毎晩チェックしてるのか~? 擬音の「そそそそ」って、あのアザミ・クロ・川萩がトイレに向かっていった時の擬音―――


倉庫であった爆発事件の時と同じ擬音や~。あの時も洋子はウォッチャーだった―――。あの時とは違い、今度は触れたい―――。でもまだ触れられない―――。いつまでもこんな生活していると―――いつの間にやらこんな夫婦になってしまわないだろうか―――


アカン・・・・。佐藤夫婦のほうが真っ当な夫婦生活送ってる―――・・・・。
「今」から逃れたい女・・・・?
2人の女が手に入れたいものに手を伸ばした―――。
一人は月に手を伸ばした―――。

もう一人は男の股間にマジックハンドを伸ばし・・・・

アカン―――! ロマンチックじゃない―――! 「そそそ」のほうやない―――!!
やりなおし―――
2人の女が手に入れたいものに手を伸ばした―――。一人は月に手を伸ばした―――。

もう一人は安らぎをくれる男の手にマジックハンドを添えた―――。

今は佐藤洋子―――。本名は神田麗だと名乗った時―――その時はタコちゃんの手に本当の手を添える事ができるだろうか―――? 今は偽りの手を添えることしか出来ない―――・・・・。