巣鴨で助けた子供・左吉が勝次をしっていると言い、勝次との出会いから別れの話を語りだした。
吸血鬼に囚われ、牢屋の中で知り合いになった勝次と左吉。
空き巣をやっていた吉田のじいさんと三人で牢屋を脱獄するが、外の柵を吉田のじいさんだけが超えて勝次と左吉を見捨てて逃げ出してしまった。
そのことに勝次は大声を出してしまい、サイレンが鳴り響き吸血鬼達が脱獄した人間を探し始めた。
あらすじ
柵のそばで怯える二人。
左吉「早く隠れないと見つかっちゃうよ」
勝次は傍にあったゴミ箱を柵の外に放り投げる。
そして草陰に隠れる二人。
柵の外にゴミ箱が落ち、物音に気付いた吸血鬼達「外で音がすんぞ!!」「柵の外に逃げやがった」
そして周りは静かになった。
勝次「行こう。上手くまいたようだ」
左吉「でも…どうやって外に…」
柵は勝次だけなら登れそうだったが、太っている左吉には無理だった。
柵沿いを進むと、柵は公衆トイレの外壁と繋がっていた。
勝次「このトイレをよじ登ろう」
二人で協力して公衆トイレの屋上に上がった。
勝次「ここから飛び降りれば この集落から ようやく脱出できるぞ」
そこで吸血鬼の声が聞こえ、勝次と左吉は身をかがめる。
吸血鬼達は吉田のじいさんを追っていた。
左吉はなんとか助けられないかと言ったが、勝次はそれを制す。
勝次「俺はお前のそういうところ 嫌いじゃねェよ。こんな世界にいたら みんな心がやさぐれちまう。お前 見てると心が洗われるようだよ」
左吉「なんですかそれ。自分だけ大人ぶって勝次さんずるいっスよ。言っときますけど歳は俺のが上ですからね」
勝次「わかったわかった」
吸血鬼達がいなくなり、勝次と左吉はトイレから降りて、集落の外の森を歩いていた。
勝次「明が俺を助けに向かって来てるはずだから どこか わかる所で待たないとな」
左吉「勝次さん ホントにその明って人いるんですか? 邪鬼を倒せる人間だとか 何やら雅様を殺そうとしているとか。そんな人実在するのかなって」
勝次「マジでいるんだよ 明は。俺の大切な大切な大親友なんだからな」
左吉「はいはい」
勝次の腹の音が鳴る。
勝次「ちきしょう。腹減って力が入らねェよ」
ふらついた勝次は、崖から落ちてしまう。
勝次は気絶し、しばらくして目を覚ますと周りは吸血鬼達でいっぱいだった。
吸血鬼「ハ こんな所で生きた人間の子供を拾うとは」
怯える勝次だが、周りを見渡し左吉の心配をする。(左吉は!? 大丈夫か!?)
左吉はそばのクルマの影に隠れて観ていた。
安堵する勝次(隠れてる… よかった)
吸血鬼達「このガキ、大会の景品にどうです?」「そうだな 子供の血は誰もが欲しがるからな」「よしじゃあドームまでこのガキを運ぶか」
勝次(ドームって東都ドーム!? そんな所に連れて行ってどうするつもりだ!?)
吸血鬼「このガキは大切な景品だからな。殺すんじゃねェぞ」
感想
「あったよ!
ゴミ箱が!!」
「でかした!」
ピンチになった勝次が周りを見渡すとゴミ箱が!
分別!
この吸血鬼の世界でも
ゴミは分別して出すのか!
まだ吸血鬼ウィルスがばらまかれてねェ時代の遺物なんだろうが、ここにキレイに並べて置いてあるところを見ると、ちゃんと使っているのかァ?
そのゴミ箱を勝次がどうするかというと…
ぶん投げやがった!
ちくしょう
小4のくせにロングスローが半端ねェ
怪力!小4で缶がいっぱい入ったこの形の、恐らく鉄製のゴミ箱を放り投げるなんてできねェ! それとゴミ箱から缶が飛び出たが、缶からジュースがこぼれてやがる! 中にジュースが残っているということは最近捨てた缶だと言う事!! ハ こんな所でゴミを分別をする吸血鬼を出会うとは。吸血鬼は分別してるっていうのに、この小4は分別がねぇことをしやがる!
「あったよ!
心が洗われる言動が!!」
「でかした!」
左吉が「勝次は大人ぶっている」。それもワケがねェ。
勝次はハンマー一本で吸血鬼を殺っちまっている。勝次の手はもう汚れちまっている…
それに勝次は、大量の吸血鬼をケーブルカーで轢く作戦を思いつき、それを決行。その後…
この笑顔! なんにも心が咎めてねェ! やさぐれているどころじゃねェ!
「あったよ!
話を転がす崖が!」
「でかした!」
腹が減ってふらつく勝次。
勝次「ちきしょう 腹減って力が入らねェよ」
アンパンマンが助けてくれそうなシチュエーションだが、やはりアンパンマンは来てくれねェ… そしてふらついて唐突に出てきた崖から落ちやがった!
アンパンチじゃなくてアンちゃんピンチじゃねェか! こんな高ェところから落ちて、下がアスファルトでも気絶するだけで済みやがる! 怪力に不死身なんて、吸血鬼に近づいてるじゃねェか。
「あったよ!
デブが隠れられる場所が!!」
「でかした!」
崖から落ちて吸血鬼に囲まれちまった勝次。吸血鬼を見て「ひいっ 追手っ」。そこで咄嗟に追手なんて言葉が出てくるかァ? そんな勝次は自分の事より左吉の事を気遣いやがる! なんて親分肌! 年上の差吉も弟分になるはずだ。その弟分の差吉は車の影に隠れて…
コイツが彼岸島の吸血鬼
見ての通り
頭の悪い奴だ
これで隠れてるって見つかっちまうだろうが! へ?そういえば彼岸島の吸血鬼は暗闇では目が見えねェ。そして勝次達は夜に牢屋を抜け出したから、この距離でも左吉は息を潜めていれば見つからねェ! ちゃんと設定を守っておる!
コイツが彼岸島の吸血鬼
見ての通り
目の悪い奴だ
「あったよ!
ドーム球場が!!」
「でかした!」
吸血鬼達は、勝次を大会の景品としてドームに連れていく?
へ?東都ドーム? 東京ドームという名前じゃねェのか? 東京ドームでなくとも、ドームを維持するには空調設備を動かさなくてはならねェが、電気は来てんのかァ? 吸血鬼達はゴミを分別するぐらいだから、文明的な暮らしをしているのか? それとも勝次の想像図だから現在の東都ドームはしなびているか、東都ドームとは別にドームと呼ぶ何かがあるのかァ?
それにしても吸血鬼達は、勝次を見つけても「すまない ちょっと子供の血がほしくて」とか言って血を吸わず、大会の景品にしようとするなんて意外と理性的だなァ。そしてゴミを分別したり、ドーム球場を維持していたり… 車が乗り捨てられてるのは、吸血鬼が排気ガスが苦手だからだし… もしかして皆が吸血鬼になれば解決なのか? 吸血鬼は病気にならねェし。でもそうすると人間の血が吸えなくなって、吸血鬼から邪鬼になっちまって全滅しちまうなァ…
コイツが彼岸島
見ての通り
設定がしっかりしている漫画だ