太平市の太平興信所の所長・宇津帆。
将来のカモにするために子供達が免疫なしで育つように暗躍していた。
依頼先からイラストを気に入られた佐藤。今度はクリスマスのイベントのイラストを頼まれた―――
あらすじ
自室でサンタのイラストを描く佐藤「ちがうな―――・・・」
絵を描いた紙を破り捨てる。
佐藤「イメージがむつかしいな・・・ キリストの誕生日に夜な夜なじいさんが――― 鼻の光るトナカイにソリを引かせて――― 子供達にプレゼントを勝手に配りまくる・・・・」
佐藤「どうして―――? なんなんだ・・・?」
スナック
オクトパスの社長「ママ――― 前にオレが連れてきた若いの覚えてる?」
スナックのママ「あ~ 泣きべそって子? 社長のトコで仕事続いてるの~? あの子ォ―――」
社長「マジメな男よ! それでいてな~んか・・・不思議なトコあってな~」
社長「最初の1ヶ月なんかは・・・ 根性見てやろうってもんで――― 事務所の掃除や便所掃除やらやらしてたんやが・・ 嫌な顔ひとつせんのだ コレが―――・・・ なんなら楽しそうにしよるんやコレが・・・・」
社長「ママはアイツを見て泣きべそには見えんって言うたろ? それがどうも最近は俺もそう思うというか・・・ アイツが泣きべそってのがまるで想像つかんのだわ―――」
ママ「社長が気に入ってんならいいやんそれで~」
社長「確かに俺はアイツを気に入った――― だから仕事を増やしてやった。アイツに今イラストを描かしてる。決して上手くはないんやが・・・ 味のある絵を描くんだわアイツ――― 子供みたいな・・・というか純粋な絵というか――― あったかーい絵なんやコレが~・・・」
ママ「どんな絵か見てみたいなァ―――」
社長「あるぞ――― 実は――― サイフに入れて持ち歩いてる」
社長から佐藤のイラストを受け取ったママ「あ~ 浜乃屋庄三―――ッ!! この子、今がきっと楽しいのね―――」
社長「え? なんで~?」
ママ「ホラ! この笑顔――― 本物の浜乃屋のジャケットは確か笑ってなかったよ。子供のカウンセリングでもあるけど――― 絵に今の生活が表れるんだってぇ~」
社長「ふ~ん」
洋子の部屋
部屋で飲んでいる洋子に相談する佐藤「サンタのじいさんについてちょっと知りたい――― 確か おまえ 10歳の時に家が全焼して――― 両親を失くしたんやろ―――? サンタは来たのか―――?」
洋子「来たわよ~ 毎年ちゃんと―――。朝起きたら枕元にプレゼント・・・ でも実はアタシ――― 5歳の頃にはサンタの正体知ってたのよね――― なまじっか記憶力がいい分 知恵もまわったから―――・・・」
洋子「でもね――― サンタを信じるフルしてたのよ~ なんなら母親はその”フリ”にたぶん気づいてたと思うけど――― お互いそうゆうトコ気づかない”フリ”して――― クリスマスしてたなァ~ アンタはどうなのよ~ サンタの思い出―――」
佐藤「俺は・・・親の顔すら覚えてない――― 気づいた頃にはボスが育ての親で――― クリスマスなんてのはけっこう大きくなってから知った程度で・・・ 逆にサンタって変わったオッサンがいるもんだ・・・・て信じてたくらいだ―――・・・・」
佐藤「俺は経験ないが 朝起きたら枕元ニプレゼントがあるって――― やっぱりうれしいのか?」
洋子「そりゃうれしいわよ。アタシには最後のメルヘンね――― 親だってわかっていても―――・・・ 知らない”フリ”して思い込むのよ! 親はサンタの”フリ”して子供に夢を――― 子はサンタを信じる”フリ”して親に夢を――― メルヘンな家族ゲームよ」
顔を伏せ、泣き出す洋子「お父さんも・・・ お母さんも・・・ 大好きだった・・・」
そ~っと部屋を出ていこうとする佐藤。
洋子「オイ! コラ!! そっと帰るなバカヤロ―――!! 思い出させやがってぁ~ 酒飲めよ! つき合えよ!!」
佐藤「じゃ――― 炭酸を!」
洋子「ねぇわ!!」
感想
佐藤がサンタのことを「プレゼントを”勝手”に配りまくるじいさん」―――。物心着いた頃から山の中にナイフ一本で放り出されてただけある―――。殺し以外のことには純粋なのか~? 殺し以外に興味を持たなかったのか~? それとも興味を持たない育て方をされたのか・・・・。
浜乃屋庄三のCDジャケット
佐藤が描いた浜乃屋庄三のイラスト
ママはよく浜乃屋庄三って見抜いたな―――。ママも浜乃屋のファンなのかぁ~? 浜乃屋庄三は売れっ子なのかぁ~? ジャッカル富岡が出ているドラマの主題歌歌ってるけど―――。
佐藤の描いた浜乃屋庄三を見て「この子、今がきっと楽しいのね。絵に今の生活が表れるんだって」と言ったママ。それを聞いたオクトパスの社長が嬉しそう―――。社長は佐藤のイラストをサイフに入れて持ち歩くとか本当に気に入っている証拠―――。佐藤もええところに雇ってもらえてよかったなぁ~。佐藤が描いたサンタもトナカイも笑顔や―――。
佐藤が洋子に言った言葉「両親をなくした」。「亡くした」じゃなくて「失くした」なのは、まだ人を物として思ってるのかなぁ―――?
洋子が酒好きなのは記憶力が良くて嫌なことも覚えているから、それを忘れたくて飲んでる~? 洋子も弱いところあるんやなぁ~。