砂川の暗躍で組長が急死。
組長の急死に何か引っかかる若頭の海老原は、カンがいい佐藤に相談―――。
あらすじ
車内
佐藤の運転で適当に道を流しながら、話をする海老原。
海老原「組長は―――殺された・・・・?」
佐藤「今ある点と点をつないだら――― かもな―――って話だ――― 砂川が昇格するとなった時――― それを妬みそうなヤツはいるのか―――?」
海老原「幹部の一人で水野ってのがいる――― 反砂川派ってとこか―――・・・・ 利権をめぐって砂川と何度もモメて、歳も同じくらいやからライバル心も強い。その水野を注視するべきか・・・・?」
佐藤「あ――― そこから何かボロが出るかも―――」
海老原「確証があれば砂川を処分せなアカン――― おまえに相談してよかったよ。やるべき事が見えてきた」
佐藤「でも気をつけたほうがいい――― もしウチの組織も何か関わってるとしたら――― アンタも危ないぞ―――」
海老原「組織の命令で俺を始末しろって言われたら――― おまえ―――俺を殺(と)りにくるか?」
答えようとする佐藤を制し話続ける海老原「答えんでいいよ――― みんなそれぞれ仕事も立場もある――― ただな―――・・・ どうせ殺られるとしたら・・・・ おまえがいい―――」
山岡のアジト
元はマツが用意した二郎のアジトで、今は山岡が使っている部屋。
山岡は鼻歌交じりで幹部の水野の写真を、自身が作ろうとしている感動巨編のキャストのところに貼る。
山岡の電話が鳴り、出る山岡「俺だ――― そうか―――わかった。じゃあ先に―――おまえだけでも中国から戻ってこい。アジトは手配済みだ――― 住所はあとでメールする―――!」
飲み屋
飲み屋の座敷席で飲んでいる幹部の水野と、舎弟二人と女一人。
次期若頭に砂川がなりそうなので愚痴を言う水野「あんなハゲの下につけるかボケ! ハゲすぎやろ~」
舎弟「なんかウマイ手でも・・・?」
水野「あと二年したら抗争で懲役行った幹部らが帰ってくる。それまで若頭のポストは空欄でもええやろって海老原に提案する。若頭ってのはな、次期組長でもあるんやぞォ~ そない急いで決めたらアカンやろってな―――」
水野「筋としては別に間違った事はゆうてない――― それで砂川がゴチャゴチャゆうたらモメたったらええがな~!!」
佐藤の家
海老原と別れ、一人車で帰ってきた佐藤。
洋子が佐藤の帰りを待っていた「海老原さん―――なんて?」
佐藤「まだよくわからんが何かが蠢いてる――― とりあえずコレ持っとけ――― この車のカードキー。俺は予備を持ってる―――」
洋子「火の粉がふりかかりそうなのね~・・・」
佐藤「そう 気にするな 念の為だ――― ただ―――何か危険を感じたら――― おまえはコレに乗って逃げろ―――!」
洋子「アタシより強いからってナメないでくれる―――?」
無言で見つめ返す佐藤・・・・。
感想
揉め事を避けたい男・・・・。
砂川を疑う―――。これは当然―――。けど、砂川が昇格することで妬むヤツを疑う―――。「砂川が組長を殺した」とすることで得をする”砂川を嵌めた”ヤツがいるかも知れないと疑っているのか―――? 水野を探ることで、水野が砂川を嵌めたのならその証拠が出るかもしれないし、水野がライバルである砂川の動きを観察して何かを掴んでいるかもしれない―――。佐藤には今までそういう依頼もあったのかもな~。
海老原に「組織の命令なら俺を殺しにくるか?」と聞かれた佐藤―――。
海老原は「答えんでいい」と止めたけど・・・・読者からとしては答えを聞きたい―――! でも佐藤は即答できずに、海老原が口を挟めるほどの間があったということは・・・・。他人に情が移ってきてるのか―――? 殺しのスキルは落ちてきているのか―――? 手合わせの後に佐藤が「ナマったな」と言っていたのは―――
身体自体ではなく、その身体を動かす心が躊躇したからいつもより動きにキレがなくて「ナマッた」と感じたのかも知れない―――。プロとして―――「反砂川を探れ」と言ったように、カンはまだいいようだが―――いざ仕事となった時、ちゃんとプロの立場を守れるんだろうか―――? 今回の敵は同レベルのプロだが・・・・。
気を揉む男・・・・。
佐藤に「組織の命令なら俺を始末するか?」と聞いた海老原―――。
それぞれの立場がある―――海老原は、佐藤自身は知らない佐藤の置かれた立場を知っている―――。入院した時に海老原は、ファブルのボスから「アキラの殺しのスキルを落として一般社会になじめるならそうしてやりたい。アキラを処分したくない」と聞いてる―――。海老原が退院して、山篭りの前の佐藤に「1年の休暇が終われば元の仕事に戻るのか?」と聞いている―――。
このあと海老原は「休業中にいろいろ経験するやろ。楽しめよ―――」と言い電話を切った―――。
海老原が言いかけた『組長の初夢』―――それは佐藤兄妹が太平市で普通に暮らしている夢―――それを言わなかった―――。ボスから聞いたこと、佐藤の置かれた立場、それに海老原も佐藤には普通に暮らしてほしいと思っているだろう、でも言えなかった―――。これからは海老原には組長としての立場がある―――。「答えんでいいよ―――。みんなそれぞれ仕事も立場もある―――」これは海老原自身にも言える言葉・・・・。
揉めさす男・・・・。
感動巨編のキャストに水野を付け加えた山岡―――
「もうすぐ風が吹くぞ~」。どこから風を吹かせるのか~? 砂川のライバルの水野を山岡が消せば、砂川がすんなり若頭になれる―――。でもこの状況で水野を消せば、砂川にさらに疑いがかかるようになってしまう―――。それなら組長を殺った罪を水野に被せる―――? 女に揉ませた水野だったが、山岡からは揉める原因にされる―――?
揉ます男・・・・。
飲み屋で愚痴る水野―――。砂川は小島にも宇津帆にも鈴木にも陰でハゲいじりされてたが、水野にもイジられてんのか~。でもライバルで歳も同じぐらいだからハゲをイジるのも当然か~。でもハゲいじりすぎやろ―――!!
ハゲてるから若頭になったらアカンて~w
抗争で刑務所に入っている幹部があと二年で出てくるから、それまでは若頭のポストは空欄のままっていうけど2年も空けとくか―――? 抗争で刑務所に入ったということはそれだけ矢面に立って貢献したことでもあるから、その幹部達の意見も手を揉んで聞かなければならないだろうけど・・・・。それでも2年も空けとくか―――? 水野は楽観的な思考の持ち主なんだろうか―――?
もぅ増すことは無い男・・・・。
砂川は山岡に「一週間もすれば若頭になれる」と言ったが、このまま海老原が組長の急死の原因を探るとなると、1週間では済まないだろう―――。そうなると根回ししておいた他の幹部を動かして海老原を急かすのか―――? 水野の写真を貼っていたから山岡が動くのか―――? とにかく砂川の少ない髪はまだまだ抜けそうや・・・・。抜け目なく裏工作したのに間髪入れず若頭になれず、神経質に動いたせいでストレスで髪は抜けて飛散とか悲惨やな~。
揉める兄妹・・・・。
佐藤は洋子に「危なくなったら逃げろ」と言ったが、洋子は逃げない―――。プロとしてのプライドもあるんだろう―――。鈴木に山道で嵌められて摑まったことを悔しがったり―――佐藤に突っかかって手合わせしたのも―――手合わせして負けても諦めずに隙を狙って襲いかかったのも―――手合わせの次の日の会話―――
洋子「ならいいけど―――」も―――佐藤と組む前からプロとしてやってきたプライドがあったからだろう―――。
対して佐藤は―――真黒組が仕掛けた洋子の部屋の監視カメラは用心として残して―――宇津帆の時は太平興信所には連れて行ったが見張り役としてだった―――今回は車のキーを渡す―――とプロとしては認めてはいるものの、守ろうとしている―――。佐藤は『洋子は殺しをしたことがない』とニオイで分かっているだろう―――。宇津帆の最後の時に洋子と鈴木が銃を向けたが、宇津帆の額に当たったのは鈴木の弾だった―――洋子はあの時引き金を引けたんだろうか―――? 今回は組織の者が関わっている可能性が高いから、その一瞬の躊躇が命取りになる―――。佐藤は洋子の強さじゃなく、そのことを心配して逃がそうとしているのか―――? それとも「洋子には殺人者になってほしくない」という気持ちもあるんだろうか―――? 真黒組に初めて来た時には組長と若頭を殺すプランを考えていた佐藤―――今回、海老原に「組織の命令なら俺を始末できるか?」と質問されて即答できなかった佐藤―――。変わってきた佐藤に、洋子に対して「同じ殺人者になってほしくない」という気持ちが芽生えていても不思議ではない―――。
砂川の揉め事が起こした力のモーメントはどこへ伝わってどういう結果をもたらすのか―――? 諸々終わった後、佐藤と海老原が語り合う”いいドライブ”がまた観れるといいなぁ・・・・。
いつも楽しみに更新待ってます。
しかしこの漫画は相変わらず面白いけど
今回の山岡がやろうとしてる事にボスが気づかないってのはさすがに酷いと思うw
まぁ最終的には介入してくるかもしれないけど…
姉さん死なないでほしい
顧客である真黒組が大変なことになっているのに
しかも部下である山岡が動いたことが切っ掛けなのに
ボスが動かないのは不思議ですよね。
何か先を見据えてのことなのか?
それとも単に気づいていないのか?
山岡編が終わる頃までには出てくるとは思うけど・・・・
ここの考察、好きです。なんか読み入ってしまう。
ありがとうございます。
中国から帰ってくる
山岡の部下のキャラが、とっても気になりますね~
南さん 期待してます!