国会議事堂内の”溶ける絵の控室”で斯波総理達から話を聞く緑郎と青一。
その部屋には双亡亭から送られてきた肖像画が飾られていた。
あらすじ
斯波総理「時は昭和10年。国会議事堂のこの議員控室で、第34代内閣総理大臣 真条寺禅一の身体は上からゆっくりと…爆ぜた。見ていた一人の議員の眼の前で。」
斯波総理「あまりの異常さに緘口令が敷かれ…真条寺総理は持病悪化による急死とだけ発表された。大騒ぎの中、たった一人の目撃者であるその議員は、死の直前に総理が握っていた書きつけを拾った…」
緑郎「何が…書いてあったの?」
ビニール袋に入れられた紙が緑郎に渡される。
紙に書いてある文字(全てひらがなで書かれている)を読む緑郎「東京都豊島区沼半町にある双亡亭から石神井川まで水路を作る工事を始めろ」
斯波総理「それからだ… 総理になる者の悪夢が始まったのは…」
斯波総理「その翌年、次の総理のもとに…ちなみに35代の彼は光村健治。爆死した総理を眼前に見た者だ…」
総理になった光村の元にも肖像画が送られてきた。光村は絵を燃やしたが燃えなかった。他のどんな方法でも絵を壊せなかった。絵を送りつけてきた双亡亭に警官を派遣したが誰も戻らなかった…
その後も総理が代わるたびに肖像画が送りつけられてきた。壊せないので”溶ける絵の控室”の金庫に仕舞われた。
歴代の総理の中には肖像画のことを信じない者もいた。49代総理 内田象三も信じず、絵を飾ったところ、身体が溶けてしまった。真条寺総理と同じような書きつけを残して。
それからも肖像画を信じない総理がいたが、その総理達も溶けたり爆ぜたりした。
そして1969年。61代総理の時。議事堂に登院しようとした彼が溶けた。この事で事情を知る者は、戦慄した。
緑郎「なんで? また死んだヒトが出たから?」
斯波総理「緑郎君… それまで死んだ総理は、絵の近くで溶けたりしてるのだ。時間にして絵から1分くらいの距離… それがその時は『絵』が飾ってあった首相官邸から車で5,6分の議事堂の玄関先で…溶けた…」
斯波総理「溶けるまでの時間が長くなってる!」
斯波総理「1972年。私達は双亡亭の中で怪異に遭った。その時、友だちの中から、まったくそっくりな友だちが皮を脱ぐように現れた…」
桐生防衛大臣「だから我々はこう考えたのだ… <双亡亭>は『絵』の向こうから来る何者かが、人間と入れ替わるための場所だ。代替わりのたび、総理大臣に『絵』を送りつけるのは、最高権力者に化けて、何かをしようとしているからだ」
緑郎「水路を… 作る…」
斯波総理「『水路』でそ奴が何をしようとしているかはわからない。だが、入れ替わる方法を考えても、人間にとって良い事である訳はない。だが奴らは人間に成り切れない理由があるらしい」
緑郎「すぐに溶けたり爆発しちゃうから…?」
桐生防衛大臣「ああ… だが今やその動ける時間が… 長くなって来てるんだ…」
歴代の総理「あたしらは全員… もう長い間うなされ続けている『夢』があるんだよ…」
その夢とは双亡亭から大きな腕が何本も出てくる夢だった。
斯波総理「私達は政治家だ… 政治家は夢など信じない。しかし…」
青一「ソレ… ユメ… チガウ… ヤツラ… ソレ… ネラッテル… ヤツラ… ハ ココニ… キタイン… ダヨ…」
感想
せっかく総理大臣に取り憑いたのに爆ぜたら意味ないと思ったら、こっちの世界にまだ長くいられないのか。
何者かが、総理を操って双亡亭から水路を作る工事を始めようとさせていた。
窒素に弱いから水中に潜って活動しようとしていた?
総理達が見た『双亡亭から飛び出る巨大な無数の腕』の夢。
この物語の終盤に実際に起こりそう。そして、双亡亭から出てきた者と人間側達との総力戦になりそう。その時には青一が言うアノヒトも来るかな? 双亡亭内で終わる小じんまりした話かと思ったらデカクなってきたなぁ。
緑郎達はまだ双亡亭には向かわないのか? 緑郎は、姉の紅が危険に合わないようにって双亡亭に先に向かったのに。緑郎が焦っていないということは、紅が双亡亭に入ったことは聞かされていないんだろうな。それを知らされた緑郎が総理に向かって
とか言わないだろうな?