年末の太平市、真黒組の砂川がクーデターを起こそうとしていた。
佐藤と手合わせした洋子とクロ。
案の定、佐藤にやられてしまい・・・・。
あらすじ
大晦日―――
佐藤は一人、凧揚げをする。
揚がった凧をスマホで写真に撮り、実家に帰省しているミサキに送る。
その後、洋子の部屋に帰り、コンビニで買ってきた年越しそばを二人で食べる。
手合わせの時のケガで外に出たがらない洋子から「クロは半日休んで帰っていった。」ことを聞く佐藤。
食後に屋上でコマ回しをする佐藤、それをウィスキーを飲みながら見ている洋子(これもミサキに写真を送る。)
洋子「ホント楽しそうね~」
佐藤「こんな平和な年越しは初めてだ―――。来年はこうもいかないやろな―――。仕事に戻ってるやろし―――・・・ そもそも正月を迎えられるか―――・・・・」
洋子「兄は大丈夫よ! アタシの100倍強いし―――。アタシも相棒が―――こんなに強いと頼もしいわ~」
洋子「アタシのほうがいないかもね・・・・」
除夜の鐘が鳴り始める。
洋子「この鐘の意味―――古いものを捨て新しいものを迎えるって意味らしいよ―――」
佐藤「そうか――― 来年も一緒に聞けるといいなぁ―――」
洋子「うん!」
感想
ヤンマガの2,3合併号で”兄さん”が表紙・・・・。狙った~?
喉越しの男・・・・。
一人で凧揚げをする佐藤・・・・。佐藤はつまらないと思うかと思ったら、凧揚げ楽しいのかよ―――! こういうのは誰かとやるのが楽しいと思うが・・・・。
その後のコマ回しは洋子と一緒に―――。見てもらってるだけだが・・・・。
年越しそばをコンビニで買ってくる佐藤・・・・。風情がない・・・・。
そして買ってきたのがざる蕎麦やんけ―――!!『年越しそば』に『ざる蕎麦』って信じられん―――!と思ったけど、検索したら結構あるらしい・・・・。どうやら西日本は『かけ汁』派が多く、東日本は『つけ汁』派が多いらしい―――。ボスは東京にいたから佐藤も年越しそばはつけ汁派なのか―――? でも冬にざる蕎麦って寒くないのか~? 温かいほうがいいだろ~って思ったけど、佐藤は猫舌・・・・。猫舌だからざる蕎麦を選んだ―――? そもそも年越しそばを食べた事はあるんだろうか―――? 殺し屋には「年を越して新たな年を迎えて新鮮な気持ちになる」って思いはあるんだろうか―――?
電話越しの女・・・・。
ミサキは実家に帰省しているのか―――。
ミサキは親の借金を返すためにバイトを掛け持ちして働いているが、親は元気にしているのか―――。でも母親らしき人の声しかしなかったが―――父親が借金したのか―――?
読み返してみると、小島編で鉄工所に呼び出される前に母親に電話をしていて
「来年にはお父さんの借金返済できそう―――。おかんこそパートとかムリしたらアカンでェ―――」と言っている―――。父親が亡くなって、その借金を背負い込んだのか―――? 小島から無理やりやらされそうになった”いい仕事”は幸か不幸か無しなってしまった・・・・。
除夜の鐘の意味『古いものを捨て新しいものを迎える―――』。
ミサキは来年になっても借金はまだ捨てられそうにないなぁ・・・・。借金を返して新しい店を開く夢は来年も迎えられそうにないなぁ・・・・。
思い過ごしの兄妹・・・・。
手合わせをして半日動けなかったクロ―――。洋子に「やりすぎたと思ってる?」と聞かれた佐藤―――。答えは「いや―――」だった―――。返答に間があったのは、半日動けない程のケガをさせたことはやりすぎたと思っているけれど、プロを諦めさせることを考えるとやりすぎたとは思わないって事で「いや―――」? 洋子の反応もその気持を察している様子―――。
そしてその後、来年を迎えられるかどうかの話―――。佐藤と洋子の住む世界は来年を迎えられるかどうかも分からない世界―――。プロとしての厳しさを知っているからこそクロをプロにさせたくないという気持ちか―――。宇津帆編で佐藤どころか鈴木も一般人のヒナコを庇ったのも「自分達は一般人とは住む世界が違う」という線引があるんだろうな―――。
でも「やりすぎたと思っていない」のは思い過ごしで、もっとやらないとクロは諦めそうにないが・・・・。
眼鏡越しの男・・・・。
クロも裏の世界の住人だが、まだ裏の世界の表に近い部分にいるだけ・・・・。
クロの動機がまだ
「太く短くでいいからこの世界で名前を残したい」ならプロの殺し屋になることは間違っているのに・・・・。佐藤に「存在を知られないのがこの世界のプロ」と言われたのに・・・・ 山篭りや手合わせで力量の差を見せつけられたのに・・・・ 鈴木にも「やめておけ」と言われたのに・・・・ 別の動機があるならまだしも、色々言われたり目の当たりにしたりしても、自分が殺し屋に向いていないと気付け無いほどカンが悪いのか―――?
除夜の鐘の意味『古いものを捨て新しいものを迎える―――』。
クロはプロになるなら「名を残したい」という考えを捨てて、新たな考えを身につけないといけないがどうやらそれは出来無さそう・・・・。クロの目というメガネを通して見ると、佐藤や洋子がやっていることはこのままの自分にも出来るかもと見えてしまうのか―――? このまま「プロになりたい」という考えを捨てずに来年も行くと、死を迎えることにもなりそうだが・・・・。
来年を見越し始めた男・・・・。
佐藤が送った写メには凧揚げの写真には凧だけ、コマ回しの写真にはコマだけが映ってる―――。
佐藤の顔どころかドコでやっているかも分からない写真にしたのは、プロとして証拠を残さないようにするためか―――? それでも写メを送ったのは「約束したから」以外にも「自分が楽しかった事をミサキにも見せたかった」という気持ちもあった~?
今回乗っていたレクサスも、佐藤の背中のケガでシートに血がついたから買い取るという話から貰った車―――。
除夜の鐘の意味『古いものを捨て新しいものを迎える―――』。
ふつうの人は年越しを意識して新鮮な気持ちになる―――でも佐藤は毎日痕跡になるものは捨ててきて、新しいもので知恵と工夫を使って生き延びてきた―――。「来年も自分は生きているだろう」と考えて年越しや誕生日などにしか生きていることを意識しない一般人と「来年どころか明日を迎えられないかもしれない」と考えて毎日を生きているプロとの差か―――。
でも佐藤が言った「やりすぎたと思っていない―――」「除夜の鐘を来年も一緒に聞けるといいなぁ―――」。
今年、太平市に引っ越してきて、新しいもの(誰かを思いやる事、誰かと気持ちを共有する事)を手に入れたみたい―――。