【ザ・ファブル】193話「抗う二人・・・・。」あしらう三人・・・・。

山岡のアジト―――
佐藤はミサキを攫いに来たユーカリに名前を偽り、ミサキと一緒にさらわれ―――
洋子は復讐するために乗り込んできたものの、事前に銃に細工されて復讐失敗―――
「勘のいい佐藤はアジトの近くまで来ているだろう」と予測した山岡はミサキの携帯で佐藤を呼び出してみると、鳴ったのはミサキと一緒に攫ってきた男の携帯だった―――

あらすじ

プレハブの中にいるスズムシが窓にぶつかって倒れた。

山岡「さ・・・・佐藤アキラ・・・・か・・・」

ユーカリ「え？」　アザミは無言。

両手を上げて喜ぶ山岡「カッコイイ～!!　この俺が―――気づかなかったぞ　マジかよオイ!!　近くにいるとは想定していたが　そうくるかよ!!」

山岡がプレハブのほうを見ている隙に、洋子は弾がダミーだった銃を拾い、ベルトの部分を掴み、銃を投石器の要領で縦に振り回し、銃を山岡の頭に当てる。

マツは立ち上がり、ユーカリに殴りかかるが、ユーカリは反応して応戦する。

マツ「娘には手を出させんぞ―――　娘には―――ッ!!」

洋子はさらに追い打ちをしかけたが、山岡は反応して避ける「アザミ―――　アキラは―――!?」

アザミ「ここからじゃ見えない！」

山岡はビリヤードのキューを掴み、キューが設置されていた台を洋子に向かって蹴り上げる。

台は洋子の振り回している銃に当たり、山岡はキューで洋子を突く。

洋子は避けるが、銃のベルトの部分はキューに絡まって捕まってしまった。

山岡「おまえから始末してやる―――!!」

キューの攻撃を避けるために洋子はビリヤード台の上を転がって、反対側に移り距離をとる。

が、アザミがふいを突き、洋子を喉輪から投げてしまう。

山岡「痛ぇな～　アザミ！　もう撃っちまえ！」

アザミ「佐藤明がいる―――！　弾は残しといたほうがいい―――」

洋子は立ち上がれなくなってしまった。

マツもユーカリに殴られて、気を失っていた。

アザミ「ユーカリ―――　ほっとけ！　先に佐藤明だ―――」

ユーカリ「アキラね―――」

山岡「銃をよこせ！　素手で行け―――　アキラの闘いをじっくり見てぇ～　油断するな　なんせアキラはボスの―――」

銃を渡したアザミ「最高傑作だろォ―――！」

山岡「佐藤アキラ―――じらすんじゃねぇ―――よ！　そろそろ出てこいッ!!　丸腰なのは知ってる―――　だから素手でやり合え―――　別に殺したい訳じゃない―――　腕を見たいだけだ！」

プレハブを囲むようにユーカリとアザミが待ち構える。山岡はプレハブと反対側の壁際で椅子に座り、見物を決め込んだ。

感想

組織に抗う三人・・・・。

佐藤明がいると知り―――

連れてきたユーカリは「え？」気づいていない―――。ですよね―――　連れてきた張本人だもの―――。
アザミは無言で表情変えず―――。気づいていたか―――。

そして山岡は―――

やはり喜びの表情―――。待ちに待った佐藤明の想定以上の登場の仕方に―――オモチャが手に入って嬉しがっている子供のよう―――。

抗う二人・・・・。

佐藤が来ていると知り―――

洋子は安堵の表情―――。絶体絶命の状況から百倍強い兄の登場、そしてミサキは無事だった―――と安堵の表情―――。
マツは何が起こっているのか戸惑いの表情―――。

佐藤明の登場で隙が出来ている山岡達―――。先に動き出したのは洋子―――。マツは洋子が攻撃したのを見てから動き出した―――。ここがファブルとそうでない者の差か―――。

だが、相手もファブル―――冷静に対応―――。山岡は周りにある物で知恵と工夫を使って対応―――

組織の掟が染み付いている―――。

その後ろで、地味にマツが殴られてる・・・・。ユーカリがマツを殴っている姿は何度か描かれているが―――


ボディにも・・・・


娘を守るために戦うマツが、ユーカリを殴っている姿は無し・・・・。洋子は山岡に不意打ちとはいえ一発は入れられたのに・・・・。マツには憐れみと同情を感じる・・・・。

山岡から「洋子を撃て」と言われたアザミは「佐藤明がいるから弾を残しておこう」と言い、ユーカリがマツに止めを刺そうとすれば「先に佐藤明だ」と言った―――。これは止めたのか―――？　本当に佐藤明を警戒しているようにも見えるが、連れてこられた石原を見て何かに気づいている様子を見せていたのに黙っていたし・・・・。佐藤明が石原としてやり過ごしたら、アザミはそのまま黙っていた―――？　何か引っかかる―――アザミは積極的ではない―――何か物事を大きくしないようにしているような―――。これが終わった後の山岡の事を考えてか―――？　山岡が佐藤明にぶつけるために呼び寄せたんだから、アザミは山岡にとっての最高傑作だろう―――。そんなアザミは、訓練が厳しかったとはいえ、山岡に恩を感じているだろう―――。山岡に「ボスに逆らっているように見える」と忠告したり、「引退はどうか？」と聞いてみたり―――アザミは山岡が作る感動巨編の流れから抗おうとしているように見える―――。しかしここまでくれば、山岡の願いを叶えるために佐藤明とはやり合うんだろうけど―――。

伺う男・・・・。

ミサキはどうなってるんだろ―――？　普段は酒浸りの洋子があんな動きをしていたらミサキは驚くだろうが、ミサキの声は聞こえてこない―――。佐藤の手でまた眠らされてる―――？

裏社会に戻される流れに抗い、普通に生活したい佐藤―――。その佐藤がハデにスズムシを窓にぶつけたのは、意外だったが―――それは血でプレハブ内を見にくくするため―――？　プレハブの手前に照明器具が置かれているから、プレハブの外から中を覗くのは難しいだろう―――。そしてスズムシの血でさらに見えにくくなった―――。

それとそのインパクトを与えることで「ハデに正体をバラしたんだから、当然そのままドアから堂々と出てくる」と思わせて―――上から奇襲―――？

この倉庫の入り口は、正面左のドアと正面のシャッターのみ―――。倉庫には窓はあるが、プレハブの裏にもあるかどうかはわからん―――。それに佐藤がミサキを置いて一旦外に出るとは思えない―――。一応プレハブの反対側にも窓はあるが―――

倉庫の壁とプレハブの間がどれだけあるか―――隙間があれば、一旦プレハブから出て、プレハブの上に上って―――プレハブの上にはダンボールが積まれているから―――そこに身を隠しながら様子を伺うことはできる―――。

山岡からは「素手で」と言われてはいるが、追い詰めると銃を出してくるかもしれない―――ミサキを守らないといけない状況で、奇襲を仕掛けて早々に一人をやっつけると楽になる―――。佐藤なら奇襲しなくても簡単に倒してしまうかもしれないが―――。でも山岡の言うように―――こういう場面を映画を見ている感じに観る山岡は、読者と同じ視点を持っている―――アキラの闘いをじっくり見てぇ～。じっくりといっても6秒で終わるかもしれないが―――。

マツは地下格闘技の男を軽くやっつけたが―――
そのマツから一発ももらわずに倒したユーカリ―――
洋子を軽くあしらったアザミ―――
敵の強さが示され―――
場は整った―――
この流れに抗える者はいない―――！