【ザ・ファブル　The second contact】55話「カワイイ女・・・・。」ふつうの人の習性―――　人と人は支え合う―――

元ファブルとルーマーの抗争が始まろうとしている中、アザミとユーカリにレンタルおっちゃんの仕事が舞い込んだ。ルーマーの罠の可能性も考え、元ファブル組側は相手の居場所が分からないので逆に手間が省けると思い、二人共仕事を受けることにした。アザミの依頼者は、以前ユーカリが初仕事を担当した相手で、アザミも同じ様に服を交換しただけに終わった。
一方、ユーカリのほうは女からの恋愛相談だと聞いていたが、女二人がルーマーで小型銃を撃ってきた。ユーカリはそれを躱して、相手の射程圏外から抜け、相手より射程の長い銃を向けて場を制した。

あらすじ

公園

ユーカリはルーマーの女二人に銃を向けながら質問しようとするが、相手が色仕掛けをして「仲間にならないか？」と誘ってきた。

ユーカリはその話に乗らずに、まずは銃を置けと命令。

付き添い役をやっていた女が銃を置こうとした瞬間、ツインテールの女の胸に銃を向けて発砲した。

付き添い役だった女は、ツインテールの女をユーカリのほうに押して走って逃げ去った。

ユーカリは、倒れてきたツインテールの女を受け止めた。

ユーカリ「なんだよ。仲間割れか？　それとも仲間じゃなかったのか？」

ユーカリは銃を置き、ツインテールの女に話しかける「おいッ‼　くそッ！！」が、反応が無い。

ツインテールの女は隠し持っていたナイフを取り出し、ユーカリの腹部辺りを刺した。

ユーカリ「空砲か・・・・・」

ツインテールの女「男の習性―――　女が倒れると支える―――」

倉庫

アザミがレンタルおっちゃんの仕事を終えて、倉庫に帰ってきた。

出迎えたクロにユーカリの事を聞くと、まだ帰ってきていないという。

アザミ「まだ～？」

ユーカリの帰りが遅いことで、アザミは訝しげな表情を見せた・・・・

感想

仕事を終えた女・・・・。

場を制したユーカリは「仕事以外で殺しはしたくない　質問に答えれば解放する」と言いだした―――。

「仕事以外では殺しはしたくない」か―――。弱みを見せたことにもなるなぁ～。まぁそれが無くとも、公園でこんな明るい時間に二人殺したら死体を隠すのに苦労する、プロならなおさらココで殺す事はしないだろうと―――ドレッドヘアのおっちゃんに電話の向こうで「狙われている」と言った仲間がもしいれば、もう駆けつけているはずだろうと―――それでルーマーの女のほうも余裕を見せて一方的に喋りかけていたんだろうな―――。

付き添い役の女が、ツインテールの女を撃って逃げ出した―――。倒れるツインテールの女を、ユーカリは受け止める―――が、銃は空砲で女は無傷だった―――・・・・。ツインテールの女は隙を突き、ユーカリの腹部辺りをナイフで刺した・・・・。

ユーカリがぁ―――ッ！！　いくら腐ったものを食べても腹こわさないと言っても、ナイフで刺されてしまったら―――ッ！！　相手がやけにあっさり負けて―――目的を自ら話してきて―――成功するわけがない色仕掛けをしてきて―――ホントにこいつらはプロなのか？と思ってたら―――先の先を考えて用意していたか―――・・・・。ツインテールの女の服が黒というのも、撃たれたのに血が流れていないことを見えにくくするためか―――？

ルーマーの女二人組は、大したことはないと思わせといて油断を突くという戦法を徹底しているなぁ―――。恋愛相談しにきたと思わせておいて―――射程が短い銃だけと思わせておいて―――仲間割れだと思わせておいて―――さらに、読者からはユーカリのことを真黒組の組員だと勘違いしていたというのは引っかかる部分だった―――。色仕掛けでツインテールのほうを差し出すと見せたのは、付き添い役のほうが立場が上と見せるためだったのか―――？　この後、付き添い役のほうがツインテールの女を切り捨てて逃げたと思わせることが出来る―――。カワイクないなぁ～。憎たらしいなぁ～。

ユーカリはツインテールの女が倒れ込んだ時にカバンを投げ捨て、呼びかける時に銃を置いてしまっている―――・・・・。

これは相手が女だったから油断したのではない―――これは命の大切さを知ったから―――。ユーカリは第1部の時、相手が女・洋子でも躊躇していた様子は無いどころか、佐藤を止めるために洋子を人質にしようとしてまでしていた―――相手が男だろうが女だろうが関係なく仕事をしている―――。第2部になっての今回は、自分の身を守る物を投げ捨ててまで相手の体を受け止めて、自分の攻撃する手段を置いてまでして相手に無事か呼びかけていた―――。物理的に組織を抜けただけでなく、精神的にもファブルではなく元ファブルになっていた―――。

ユーカリの刺された傷は―――カバンだけでなく腹にも鉄板なり何かを仕込んでいればと思ったが、擬音がプスだしなぁ・・・・。ここまでの手口を用意していたプロの女なので、刺した時の感触の違いぐらいは分かるだろう―――。女はその刺した時の感触に違和感を持っていないから―――・・・・

仕事を終えた男・・・・。

アザミはレンタルおっちゃんの仕事を終えて倉庫に帰ってきた―――。

アザミは普通に帰ってきた―――。あんな仕事をしてきたのに何食わぬ顔をして―――。でもアザミが無事で良かった―――。アザミが仕事から帰ってきた時の第一声が―――

コレじゃなくて良かった・・・・。どうやら服を交換して写真を撮っただけで済んだみたいや～。

アザミは、ユーカリがまだ帰ってきていないことに異変を感じ取った―――。

寂し気なコマやなぁ・・・・。ユーカリの居場所を誰も答えられずに、手を止めて突っ立っているだけ・・・・。ユーカリが刺された後に、この様子のコマ―――いやな予感がするコマや・・・・。

でもアザミがユーカリが先に帰ってきていない事に異変を感じる―――？　ユーカリの依頼者との待ち合わせ時間は、アザミの待ち合わせ時間より1時間早かった―――。しかし普通に女から恋愛相談を受けているなら長引いてもおかしくはない―――相手がルーマーじゃないと分かればユーカリが早く切り上げようとするだろうけど―――。アザミはプロの勘で何かを感じ取ったに違いない―――。佐藤がGPSの動きからプロの勘で一応見ておこうということで、クロが助かったということがあった―――。アザミとユーカリは山岡の元でよく組んでいただろうから、あのユーカリが連絡も入れずに帰りが遅いのはおかしいと思ったんだろう―――。それに「俺が狙われてる？」の合図を出しても相手から何もなければ、「相手はルーマーじゃなかった」と倉庫に連絡を入れるようにしていたかもしれない―――。

これからアザミが公園に探しに行くのか―――？　でもユーカリは連れ去られているんじゃないだろうか―――？　女が言っていた目的の中で「情報がほしい」というのは本当だろう―――情報を吐かないと分かると即消しそうだけど・・・・。この場でユーカリにとどめを刺すとしても、手口がバレないように、騒ぎにならないように、死体は運ばれているだろう―――。
アザミがファブルの場合なら、仲間は切り捨てろと言われているだろう―――。ふつうの人の場合なら、友達を心配して探しに行く―――。ここは鷹一が決断を下すのか―――？　もしアザミがそれに納得出来ない場合は従うのか？逆らうのか―――？　裏社会の場合の決断が普通の場合の決断とは違うことがこれからも起こってしまうと思うが―――義理人情を大切にするというのはヤクザにもある―――。鷹一とアザミの出す答えはユーカリを探すというはず―――。

殺し屋からふつうの人になろうとしている者が、殺し屋と接触した時―――第1部・First Contactでは佐藤は圧倒的な力を持っていたから山岡達を凌げたが―――第2部・Second Contactではアザミやユーカリはルーマーを凌げずに命を落としてしまうのか―――？　寓話なら―――改心した者は罪を償って―――罪の重さを知って罪を償うからこそ、死なずに生きていくはずだが―――・・・・