国会議事堂内の『溶ける絵の控室』で歴代の総理達に会った青一と緑郎。
青一が45年前に行方不明になって双亡亭を壊す力を手に入れたことを語りだした。
青一の家族が飛行機に乗っていたら見知らぬ場所に着いた。
青一達は白い海に呑み込まれ、せり上がった小島に上陸した。
そこには青一の家が建っていて、家の中から出てきた”白い水”が人の形になりはじめて…
あらすじ
白い水は青一の祖父の姿になった。
祖父は青一の家族の名前を呼び、青一と弟のまことがいつも食べているカステラを出した。
祖父の姿をした者「よく知っている人物。なじんだ味覚。それが大きな環境の変化時に君達が平穏を取り戻すための大切なものだろう…」
祖父の姿をした者「私は君の父親でもその子らの祖父でもない。君達と安定した意思疎通をするために、君達の記憶にある個体の姿をとらせてもらった。私はこの惑星の生命体だ。君達が『海』と呼ぶ液体の全てが、私の身体であり同胞達の集まりなのだ」
祖父の姿をした者「さっき君達が私の中に落ちた時、私は君達の体内に入って、全てを『走査』させてもらった。君達の体の組成…仕組み…そして精神活動… 君達は私と違って個別の有機的な『体』を持ち、『寿命』があり『死』ぬ。君達の言葉を借りれば…君達は『とても珍しく』私にとって『刺激的』な対象だ」
旅客機に乗っていた他の人々も同様の説明を受けていた。
祖父の姿をした者「しかし、不可解な部分がある。君達の『思考』の前後に必ず見え隠れする…それはなんだろう? 君達が言うところの『心』というものが… 色を変えた… その色に君達は名前をつけているのだな…」
青一の母親「ひょっとしてアナタは… 私達の『感情』がわからないの?」
祖父の姿をした者「君達の精神の活動のひとつであることは認識しているが、私には全く無い活動なのだ。『死』の時を迎えつつある状態でも…」
青一「今…おじいちゃん『死ぬ』って…言ったの?」
突然、星が揺れ始める。
青一の父親「海がゆれてるぞ!」
祖父の姿をした者「言っておこう。私は今…『侵略』を受けている。『侵略者』は、私の体を自らの『養分』として奪って行く。私の同胞が、私の身体から引き離されるのだ」
海から尖った岩みたいな塊が飛び出してきた。
祖父の姿をした者「『侵略者』の<器>だ… 彼らは自分の星からあれを放出して私の『海』の体に侵入する。そして<器>に同胞を一杯吸い込んで満たし、ああやって帰って行くのだ…」
祖父の姿をした者「私の体は侵略前の百分の一の容積になっている。もうあと二度<器>が来たら、体の全てを吸い尽くされてしまうだろう… 永劫に生きると思っていた私にも君達と同じ『寿命』があったのさ」
青一達が乗っていた飛行機も侵略者の星に吸い込まれそうになっていたが、この”白い水”の種族に助けられていたのだった。
青一「ぼく…助けられてうれしいよ」
祖父の姿をした者「うれしい? 『感情』だな。私にはわからない…」
青一「自分のカラダが勝手に吸い取られていくのに、くやしくないの!? イヤなコトされてるんなら… なんでイヤだっておこらないのさ!」
祖父の姿をした者「おこる…?」
現在の青一「ソレガ、アノヒトトボクラ ハジメテ シタ カイワ… ソレカラ アノヒトノ… ハンゲキ ガ ハジマッタ」
感想
どえらいことになってきたああああぁぁぁ! 連載が始まった頃は双亡亭内で戦う短編漫画かな?と思ったら…
ここで双亡亭壊すべし第1回の1コマ目を見てみよう。
「どの街にも必ず一軒くらいはある、<幽霊屋敷>の物語さ」
全然違う! 幽霊屋敷じゃねぇ!!
あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!
俺は幽霊屋敷の漫画を読んでいたと思ったら
いつのまにか宇宙人が出てきた。
な…何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何をされたのかわからなかった…頭がどうにかなりそうだった…霊だとか超常現象だとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。 もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ。
幽霊と思われている怪奇現象は宇宙人の仕業だとしても「どの街にも必ず一軒くらいはある」宇宙人がどの街にもいるのか…
このコマは震えた! どんだけスケールがデカクなんだよ!!
侵略者の<器>が”白い水”の種族を吸い込んでさらっていくところ。
侵略者の<器>から手が出てるけど、白いから”白い水”の種族の手か? でも双亡亭の絵から出てきた手も白かったからなぁ… 凧葉が操れるようになった黒い手はどっち側?
双亡亭の”何か”は窒素に弱くてすぐ溶けてしまうのに、白い水の種族がいる星に青一達がいても平気で呼吸していた。人間が普通に呼吸できるなら、あの星には窒素があるのか?宇宙人は溶けないの?と思ったら別の種族だったか。
泥怒が当時では珍しい海外旅行から帰ってくると双亡亭を建設し始めたが、その時に”侵略者”に取り憑かれたのかな? 泥怒が双亡亭を10年かけて完成したのは1935年。現在の青一の家には1972年7月の日付のカレンダーがかかっていた。だから1972年に青一達があの”白い水”の種族に会って、そこで初めての人間だと言っていた。侵略者のほうがさきに人間に出会ったのか?
“白い水”の種族は感情がないと言っていたけど… 生物は進化していくと感情をなくして論理的に動くことを優先していくというのはよくあるが、絶滅しようとするときでも防衛しようとする本能も無くなってしまうのか? 未来永劫生きている生物になってしまうと感情どころか、死にも実感が無くなってしまうのか。
感情が変わったことを「色を変えた」と表現した。真っ白の液体だったのは感情がないという証? 髪が白くなった青一はモナカを食べておいしいと喜んでいたし、なにより双亡亭を壊すと強い感情をむき出しにしてくるけど、普通の小学生よりは感情が乏しい。白い水の種族と長く一緒にいて、白い種族の人は感情に芽生えたけど、青一は感情が乏しくなったのかなぁ。それとも髪が白くなって特別な力を手に入れたのは、白い水の種族と混ざった、というか青一の体の中に入り込んだりしたのかな? 侵略者にハンゲキするときに、人間と合体して戦って青一以外の人は亡くなったという結果になったのかなぁ…
で、祖父の姿をした者は普通に話しているのになんで青一はカタカナで喋るようになったんだ?