砂川を真黒組の若頭に押し上げるために、ライバルの水野を屈服させた山岡。中国から部下を2人呼び寄せたが、幹部会までは日があるので暇潰しに地下格闘技をしている奴等を呼び寄せた。
最近身体を鍛えだした洋子は、子供の頃に一度だけ会った山岡に「会って確かめたい事がある」と言った。
あらすじ
アジトの倉庫前
マツが運転する車が倉庫の前に止まった。車の中には地下格闘技に出場している2人が。
マツ「今日は――― 一人ずつ入ってもらう。外野がいたらボンが集中できないって――― どっちにしろ15分10万よ―――」
地下格闘技の男の一人「しゃあないな―――・・・・ ホナ、俺から先行くわ~」
もうひとりの男「あんまり痛めつけるなよ――― 俺の番までちゃんと回せよォ~!」
一人、倉庫へ入っていく。
洋子の家
「こんばんわ―――」
洋子の家にクロが尋ねてきた。
洋子「来た来た! ま―――あがって―――」
バレンタインのチョコを渡す洋子「最近―――どうなの?」
クロ「え? まあ・・・ハイ 元気にやっとります―――」
洋子「そうじゃなくて―――真黒組よォ~ 組長さん亡くなってからどうなの? 落ちついたの~?」
クロ「あ――― 組っスかぁ――― 海老原さんなんかは次期組長なんで――― まだバタバタしてます――― 明後日―――幹部会なんで、そこで次期若頭も決まるようですよ!」
洋子「次の若頭って誰になりそうなの?」
クロ「おそらく砂川さんやろうなって―――・・・」
洋子「砂川が若頭に昇進した場合、水野って幹部との確執は大丈夫なの~? 真黒の動向は私達も知っておく必要があるの~ わかるでしょ―――」
クロ「そういや水野さん、毎月開いてた乱○パーティー・・・ 来月は延期になったとか・・・ やっぱ忙しいんかな~」
洋子「ふ~ん」
倉庫内
倉庫のアジトの中ではユーカリと地下格闘技の男がオープンフィンガーグローブを付けて、スパーリングを始めようとしていた。
ユーカリ「よろしくお願いしまーす! オス!!」
地下格闘技の男「加減したるからビビッてらんと思いっきりかかってこい―――」
観戦している山岡とアザミ「6秒で終わるなよ~ 時間いっぱい使えよ―――」
パァン
手を叩く山岡「ハイ ゴング―――!」
地下格闘技の男「ホラ よけれよ~」
ジャブを放つが、ユーカリは軽く避ける「よろしくお願いしまーす! オス!!」
その後もパンチをかわし続けるユーカリ「よろしくお願いしまーす! オス!! 俺はパンチとケリ禁止されてるから手首しか使えないんで~・・・・ 加減するんでビビッてないでかかってきてください―――オス!!」
ユーカリの挑発に乗る地下格闘技の男「ナメてんのかぁ―――!!」
またもやユーカリにパンチをかわされ続ける。
ユーカリは隙を見て、男の額に手首を丸めて曲げた状態で指先を当て、そこから手首を一気に反らして、男の鼻に手首を当てる。
男は鼻血を出す。
おちょくって、同じ言葉を繰り返すユーカリ「よろしくお願いしまーす! オス!!」
山岡「まだ10分以上あるぞ―――」
アザミ「もっと加減してやれ―――」
地下格闘技の男「オイ!ッ! ちょっと待て!! 話が違うぞ!! コイツ プロなんちゃうか~!?」
山岡「あ~ すまない――― 実はプロだよ。スポーツじゃない―――本物の実戦のな。マツに頼んでたんだよ――― 行方不明になっても誰も捜さない男を捜してくれって―――!」
男が今まで暴力を使って好き放題暴れてきた事を指摘する山岡「おまえらが遊ぶのもけっこう―――・・・ だがたまにはこう考えたほうがいい――― こういう事ばかりしてると――― 本物の悪にぶち当たるんじゃないかって―――」
山岡「手遅れだが―――今日がその日だ―――!!」
構えるユーカリ。
感想
その手もない男・・・・。
目隠し無しになって―――1人づつ倉庫に入るようになって―――15分で10万も貰える仕事―――。地下格闘技の男達は怪しいと思わないのか・・・・。今まで暴力で好き勝手やってきたからだろうから、もしなにかあっても自分の力で何とかなると思ってるんだろうが―――隙がありすぎ―――。
勘が悪くてもユーカリから一発喰らって流石に目が覚めただろう―――。バレンタインデーに鼻血が出るプレゼントを貰ったが、それだけでは済まないと気付いただろう―――。事情を聞いて本気になるだろうが―――それでも無理だろう・・・・。ユーカリは手首だけしか使えない事を知ったから、それと油断している隙を利用して・・・・まぁ無理だろう・・・・。ユーカリから貰ったバレンタインのお返しはできそうにない・・・・。
その日はまだまだの男・・・・。
洋子から「最近どうなの?」と聞かれて、自分のことを話すクロ・・・・。
わざわざ座って話そうと言ってきて、座ってクロの近況を知りたがってると思ったか~? 組長が急死してゴタゴタあったことだと察せないか―――。勘が悪い・・・・。「俺は勘が悪いな」と気付ければまだ改善の余地はあるが、海老原のハコスカをスクラップにする失態を犯した後でもこの調子だと・・・・。こんなことではプロにはなれない・・・・。
その気の女・・・・。
ファブルと繋がりたい砂川が若頭になろうと動いていて―――砂川と確執がある水野が毎月行っているお楽みのパーティーを中止している―――。勘がいいプロなら何かあったと気付くだろう―――。山岡が関わっていると気付くだろう―――。プロである洋子は感づいた様子―――。
「山岡に会って確かめたい事がある」と言っていたが―――一体何を―――? 筋肉痛になるほど鍛えていたのは危険に備えてだろうけど、流石にいきなり倉庫に乗り込みはしないだろう―――。倉庫の場所を聞いて見張るぐらいはするか―――?
その手があったかの男・・・・。
ユーカリは「手首だけ」って限定されていたけど、手首で殴るのか―――。関節という弱い部分(肘と膝は強いけど)だけでの打撃か―――。
でもちゃんと急所に当てて最大限の効果が出るように狙っている―――。プロや―――。
地下格闘技の男が暴力を使って調子に乗って好き勝手やっていると、本物の悪である山岡達とぶち当たった―――。本物の悪である山岡達が調子に乗っていると誰とぶち当たる―――? 寓話である山岡達が悪いことを行っていると誰が裁きを下す―――? 佐藤とぶち当たって裁きを受けるのか―――ボスが登場して裁きを下すのか―――。その日が来るのは近い―――。
その日まで後2日の男・・・・。
明後日に真黒組の幹部会があるみたいだけど―――海老原はこのまま証拠を掴めずに砂川を若頭にするのか―――? 実力的にも砂川が相応しく、さらに砂川は根回しもしている―――。反対しようにも組長を殺した証拠を示さなければ、他の幹部も反対するだろう―――。もしそれでも砂川を認めずに若頭にしないとすれば、砂川は山岡一味を使って海老原を消しにかかるか―――? そして海老原側の佐藤兄妹とぶつかる―――? それとも砂川を若頭にすることで、敢えて傍に置いて監視しやすくする―――? 組長になるその日に海老原の組長としての力量を試される―――。