【ザ・ファブル】239話「旅立つ男・・・・。」餞別を送る者達・・・・。

ふつうの生活を送ることになった佐藤兄妹とユーカリとアザミ。
佐藤は旅立つ前にミサキに結婚を申し込んだ。

あらすじ

オクトパス

結婚指輪を出した佐藤「ただ申し訳ない話がある―――・・・・　俺の立場的に籍を―――・・・」

ミサキ「わかってる！　籍なんか入れなくていい。でも―――・・・・　指輪はちょうだい」

社長「あっ！受けた!!　でもおまえ―――　籍はちゃんと・・・・　結婚ってのはそもそも～」

籍を入れないことに突っ込む社長にアザミは「佐藤は指輪の重みをちゃんとわかってる―――　事実婚でいいじゃないですか―――」と諭す。

指輪は佐藤の手によってミサキの左薬指に嵌められた。

洋子の家

洋子は佐藤から「結婚した」と連絡を受け取った。

洋子はメッセージが表示されたスマホをユーカリに見せ「プロポーズ成功―――ッ!!」

ユーカリ「マジかッ!?　本当に・・・　結婚するとは―――・・・・」

洋子「組織の事を考えると―――ミサキちゃんはこれで安全よ！　山岡みたいなのが　まだいないとも限らないし―――」

ユーカリ「まあな・・・　妻にはさすがに手は出さねぇはずだ」

オクトパス

玄関口に佐藤を見送りに来た社長とミサキ。

佐藤「では社長・・・・　もうこれで―――」
アザミ「送ってきます！」

社長はお別れ会も開けないと愚痴る。

佐藤「社長―――　ミサキちゃん。俺は戻ってくるから―――」

ミサキ「知ってる―――」

佐藤「戻ったら一緒に住もう―――」

佐藤はミサキにキスをする。

社長「元気でな～　気をつけてな」

佐藤「お世話になりました―――」

佐藤とアザミは出ていく。

ミサキは社長に抱きついて泣き出す「社長ォ～　アタシ～幸せ～」

慰めようとしていた社長「あ・・・　そっち・・・・」

倉庫

山岡がアジトにしていた倉庫に佐藤兄妹を見送りに、海老原・クロ・高橋・アザミ・ユーカリが別れの挨拶をするために集まっていた。

クロは泣いて、佐藤との再会を懇願する。

海老原は先代の浜田組長が見た初夢の話（佐藤兄妹が太平市で平和に暮らしていた夢）をする。

高橋は、佐藤にネットから集めたジャッカルの映像のDVDを手渡す。

佐藤「アザミ―――　ミサキちゃんの金の件たのむ」

アザミ「借金の件なぁ―――。明日にでもちゃんと話して渡しておく」

佐藤は夫としてミサキの借金の肩代わりをする予定だった。

アザミ「婚約の前に金の話をしたらミサキはどっちも拒否したろうよ。いい順番だった」

そして佐藤兄妹は、ボスが乗ってきたキャンピングカー（ボスからの餞別）に乗り込む。

佐藤「じゃあ　みんな―――」

洋子がエンジンをかけ、キャンピングカーは見送る皆を置いて走り出した。

感想

弁が立つ男・・・・。

籍を入れないという二人に食い下がる社長―――。つきあってもいないのに結婚、なのに籍は入れないとか50歳のオッサンじゃなくとも突っ込むぞぉ～。そこにアザミが「これも時代です―――。事実婚でいいんじゃないですか―――」。

なんでアザミは社長に諭すように喋れるねん～。アザミも佐藤とよく似て、世間知らずじゃないのか～？　「周りを見てください」ってお前の周りは殺し屋ばっかりやったやろ～！　この社長の説得方法はアザミが考えたとは思いにくい―――。洋子からのアドバイスか～？　これはアザミがオクトパスに入社できるかどうかの時に佐藤がやったウィンザー効果（第3者からの情報で信憑性をあげる）を狙った発言か―――？　社長を説得するため、ターゲットを仕留めるためなら、自分のことを置いといて冷静にぺらぺらとこんな話ができる―――殺し屋ってのは恐ろしいなぁ～。

顔を立たせた男・・・・。

プロポーズの事は洋子は知ってたのか―――。そして脈アリだと読んだか―――。ミサキと結婚させたのは―――山岡みたいな組織の者がいても、佐藤の妻だと手を出さないから―――。それをしなくてもミサキは放置されると思うけどな―――。驚異ではないし、ボスの命令もあるし―――。逆に佐藤と戦いたいという奴がいれば人質にされる危険が増すと思うが―――・・・・。

結婚した理由のもうひとつが借金の肩代わり―――。結婚前に佐藤が金を出すといえばミサキは断っただろう―――。金で買われた形になってしまうし、ミサキの顔が立たない―――。でも結婚直後でも受けるだろうか―――？　ミサキが小島の提案を受け入れた時は母親に「借金返済できるかも」と電話をしていたから、案外簡単に受け取るのか―――？　幸せで浮かれている今なら受け取りそうだな―――。

ともあれ―――佐藤が結婚した理由は、ミサキが組織に追われないためというよりも、こっちの目的のほうがデカかったりして―――。バイトを掛け持ちして頑張っている姿は毎日のように目にしていただろうからな―――。ちょっとでも笑えるように―――辛い顔をしなくていいように金を出したか―――。「戻ったら一緒に住もう―――」はミサキの身の安全ためではなく、本心から出た言葉のような―――・・・・。「あの娘が笑ってると俺も楽しい気持ちになる―――」だからなぁ～。一緒に住もうは本心だろう―――。だって・・・だってその気持・・・・ニヤッとするくらい恋の色が強すぎるんだもの・・・・。

策を立てた女・・・・。

洋子は佐藤のことを恋愛対象として見ていない―――。今までそういう素振りは微塵もなかった―――。ユーカリと気があっているが―――組織の者とは兄弟みたいな感じなんだろうか―――。カレーを作ってあげたのも弟のため、姉として―――って感じがする―――。洋子が結婚するとしたら表社会の一般人だと思う―――。

洋子がよく酒を飲んでいたのは、記憶力が良いので両親の事を忘れるためにという側面もあったと思うが―――片がついた今は酒を飲む量は減るんだろうか―――？　海老原がマツを見逃したことで佐藤兄弟に借りを返したと言っていたが、洋子が組んだルガーで山岡を始末したことも借りを大きく返したと思う―――。

旅立たれる男達・・・・。

クロもやはり駆けつけたか―――。
でも一人だけ泣いてる―――。海老原やアザミやユーカリは泣かないだろうし、高橋は付き合いがあまり無かったから―――佐藤は記憶力が良いはずなのに名前も覚えてもらってないし―――泣かないだろう―――。幸せの涙を流したミサキとクロは対象的だな～。でも別れに涙を流してくれるほど大切に思っている人がいるというのは”ふつう”なら幸せだと感じるが―――。まだ”ふつう”ではない佐藤にとって涙は餞別にはならないのか～？

高橋は佐藤にジャッカルのDVDを渡した―――。
気が利くな～。佐藤に西日本のキックのチャンピオンとかをけしかけたことを気にしてたか～？　借りがある佐藤の好きなものをリサーチして入手して渡す―――。できる奴や―――。小島と組まされた時は頼りなかったが―――今では殺し屋の銃撃戦が起きても逃げずに銃を投げ入れる事ができるようになった―――。肝も据わってるし、カンも良い―――クロより出世するかも―――。

佐藤と同じくジャッカル好きのアザミが物欲しそうに見ているような―――。

海老原からは先代の浜田組長が観た初夢の話を聞かされた―――。
この初夢の話を言いそびれたドライブの時、その前の話題は「組織の命令で海老原を消せといわれたら佐藤は実行できるかどうか」の話だった―――。その時、佐藤は即答できずに海老原に話を遮られたが―――その後、山岡との対決の時に佐藤は海老原のことを”友達”だと言った―――。その解答を受け取り、山岡にとどめを刺せない佐藤を見て、ふつうに暮らせると確信したんだろう―――。さらにボスに処分される心配も無くなり―――「佐藤兄妹が平和に暮らす姿を見れるように待っているぞ」という意味を込めて話したんだろう―――。

今までは命のやり取りをしてきた佐藤明が―――太平市に来て、恩のやり取り・貸し借りをして成長した―――。そして別れの時は餞別を送られるまでになった―――。今度は佐藤が今までやってきたことへの別れとして―――過去の自分への餞別・手向けとして人助けをすることになる―――。