山岡がスズムシを始末すると次は自分が始末されそうと身の危険を感じたマツは、山岡を殺したい洋子と組むことに。
洋子はマツから銃を受け取り、作戦を考え中。
佐藤はオクトパスの仕事を徹夜でしていたが、海老原からの電話で「妹を気にしてやれ」との言葉を受け、クロに電話をかけた。
あらすじ
佐藤の家のガレージ
クロ「どうぞ!!」クロは佐藤に監視カメラの映像が見れるノートパソコンを渡す。
佐藤「ありがとう――― クロちゃん―――」
クロ「いえいえ! 使ってくださいよ兄さん―――! パシリでもなんでも飛んでくるんで俺!」
クロ「でもヨウコ姉さん、なんかあったんスか? 監視カメラの確認ですよね? いや!ま―――とにかく俺にできる事あったら、いつでも連絡ください――― なぜ?とか俺いちいち質問しないんで」
佐藤「そうか―――面倒がはぶける」
クロ「ところで兄さん! なんでいつも家じゃ―――マッパなんですか? 解放感っスかぁ?」
裸でクロと喋っている佐藤「さっそく質問か―――」
山岡のアジト
スズムシはゴミ袋に入れたビールなどの空き缶や空き瓶をバラ撒いてしまい、大きな音を立ててしまう。
ハンモックに寝そべっている山岡「ウルセーぞ!」
ユーカリは銃をお腹の上に置きながらソファで寝ている。アザミはビリヤードをしている。
怒られたスズムシ「ス・・・ スイマセン・・・・・・・」
スズムシの様子を観ているマツ(コイツは精神的にも もう限界か―――・・・・ 部外者のこの男はじきに始末される――― やっぱり明日あたりがヤバイ―――・・・・ 俺が―――その死体処理をする事になる――― そしてその次に俺が始末され・・・・)
アザミと目が合うマツ。
アザミはビリヤード台に目を戻し、ビリヤードを続ける。マツは無言で見つめる。
佐藤の家
佐藤は部屋で、クロから受け取ったノートパソコンで洋子の家の監視カメラ映像を観ている。
佐藤が観ているのは、山岡が訪問してきた時の映像。
佐藤「やっぱり―――」
佐藤「コイツが山岡か・・・・ やっぱりカメラに気づいてるな―――」
映像の山岡は、洋子との格闘後、喋り始めた。
山岡の口の動きから喋っている事を読み取る佐藤
「おまえの・・・ 両親・・・は・・・ 焼死する前に・・・・ 先に俺が殺っておいた―――」
山岡のアジト
ハンモックに寝そべっている山岡「あ”~ やっぱヒロインがほしいよな――― スズムシ――― お―――い! ちょっとこっち来い―――ッ!」
呼ばれたスズムシは、山岡の側に座る。
山岡「ホラ―――こっち来いよ! 鬱は順調か? おまえ―――自分も殺されるかも知れねえってんで暗くなってんだろ? 蜘蛛の糸っておとぎ話知ってるか―――? 地獄に垂らされた一本の蜘蛛の糸の話だよ~ チャンスの物語だ」
山岡はミサキの写真を見せ、仲間数人で攫ってこいとチャンスをあげる。
アザミ「人質は佐藤洋子じゃなかったのか? 近いうちにアッチから乗り込んで来るんだろ?」
山岡「ヨウコは いざって時には自害する――― そういう教育をされてきた――― ミサキならその点は安心だ――― 佐藤明にとって立派な人質になる! いいシナリオになってきたぞォ~ ワクワクしてきた――― 始めからミサキ一本に絞ってりゃよかった」
山岡は、寝ているユーカリの銃を取りスズムシに向ける「スズムシ―――女を攫うか 今すぐ死ぬか――― ゆっくり考えていい――― 2秒やろう―――」
スズムシ「やります! やらせてくださいッ!! 仲間に連絡します!!」
山岡「人選は慎重に考えたほうがいい――― 失敗したら蜘蛛の糸も切れる―――!」
スズムシは土下座しながら「できます!! まかせてください―――!!」
山岡「いいだろう」銃をユーカリに投げ返す。
ビリヤードをやって集中力を高めてから作戦会議をしようと言い出す山岡。
一連の過程を観ていたマツ(強引すぎる―――・・・・ 何をそんなに急いでいる?山岡―――・・・・)
佐藤の家
佐藤は監視カメラの映像の続きを観ていた。
洋子がマツから受け取った銃を持っていた映像が流れ、佐藤「こんな銃―――どこで手に入れた?」
感想
『さるかに合戦』が起こることを知った男・・・・。
クロが来るってわかってるのにマッパか―――。クロが「家ではなぜ裸?」と読者の疑問を代弁してくれたのに答えなしか―――。触覚を研ぎ澄ますとかの意味があるのか―――? もしミサキが訪ねてきたらどうするんだろう―――? ちゃんと”ふつう”に服を着直して対応できるのか~?
読唇術も出来るのか―――。
敵達が何を喋っているのか分かれば対応しやすいからなぁ―――。ファブルとして必須なんだろうか―――? 山岡はカメラに気づいてるんだから「佐藤は読唇術ぐらいは出来るかもしれない」と警戒しなかったんだろうか―――? それともわざと口元を見せたのか―――? 佐藤を誘うために―――?
洋子と山岡の因縁、洋子が銃を手に入れた事を知った佐藤―――。これで佐藤は洋子を止めに行くのか―――? 今、洋子はどこに居るんだ―――? 山岡達の作戦会議はこれからだが―――洋子とマツの作戦会議は終わったんだろうか―――?
『アリとキリギリス』の男たち・・・・。
アザミはビリヤードをして集中力を持続させている―――。
そんなアザミは、スズムシだけでなく―――マツも抜け出したいと思っている事に感づいてるな―――。
山岡の死のリストにマツが入ってたことも知ってるし―――。アザミはマツを警戒しているのか、憐れみを感じているのか―――。まぁその時が来たら―――プロとして無慈悲に始末するんだろうな―――。
反対にユーカリは無防備過ぎる・・・・。空き缶や空き瓶が転がって大きな音がしても寝ているし―――
山岡に銃を取り上げられてようやく目を覚ましたし―――。
『カチカチ山』のウサギさん・・・・。
「いざって時には自害するように教育された」か―――。組織の情報を流出させないためだろう――――。洋子が鈴木に捕まった時に自害しなかったのは佐藤が助けに来ると分かっていたからか―――? 力量の差は歴然だったからなぁ~。洋子は今回、山岡達に捕まったとしても自害はしないだろうな―――。両親の仇を取るまで諦めないと思う―――。命がけで挑むが、”ふつう”の生活に馴染みつつある佐藤を巻き込まない慈悲の心は持っている―――。でもカチカチ山のウサギのように単独で(マツと組んでも)、タヌキである山岡に敵討ちをやろうとしても敵いそうにない・・・・。ただでさえ3人いるのに・・・・。今回見る限りユーカリは倒せそうだけど―――。
洋子が乗り込むのが先か、ミサキが攫われるのが先か―――。マツのタイムリミットぎりぎりまで洋子達の作戦を練るのなら、ミサキが攫われるのが先になってしまうが・・・・。そうなると洋子にとって山岡はさらに許せない存在になるだろう―――。マツからミサキを攫う話を聞いたら、洋子が黙っているとは思えない・・・・。止めに動くのか―――? 自分だけの問題でなく、ミサキが関わることになるので佐藤の力を借りるか―――?
おとぎ話になりたくない男・・・・。
マツが言う通り、山岡は強引過ぎる―――。スズムシの仲間まで使うのは・・・・。部外者を入れるほどそこから情報が漏れていくし、素人を使うことで失敗もしやすくなる・・・・。
山岡「始めからミサキ一本に絞ってりゃよかった」
言う通り、ミサキを人質にとれば佐藤が出てくるのは―――佐藤が鉄工所で小島を攫う時にミサキも助けていることから明白―――。それでもわざわざ死のリストを作ってシナリオを練っていたというのに、急に単純な話に移行した・・・・。
山岡は、脳の扁桃体がイカれたことにより恐怖心を感じなくなった―――もしかして脳がイカれていることで命の期限が迫ってきているのか―――? 「自分という人生が何によって誰に記憶されたか」と言ったり―――感動巨編のためなら自分が死んでもいいと言ったり―――今回のことも向こうから接触するシナリオにすると言っても、洋子のことは真相を明かしたことで向こうから仕掛けてきたという言い訳はあるが、佐藤を誘い出すのにミサキを誘拐するのは明らかに接触しにいってる―――。『組織の心得』の一つ「ボスの言う事は絶対」に背いている―――。山岡は死に場所を探しているかのような・・・・。でも砂川と組んで仕事を増やすことを目指しているという未来の展望があるなぁ・・・・。
山岡「組織での立場を明確に示したい―――」
時代の変化、組織の変化に不満を持っている山岡―――。そんなやり方は昔のやり方で今じゃない―――「あんたのやり方はおとぎ話のやり方だ」と言われたくないだろう―――。恐怖心が無くなって好奇心を刺激し続けたい”ふつう”に生活できなくなった山岡は、今回のことが成功しないなら生きていても無駄だと考えているんだろうか―――? 急いでいる理由は―――ボスが来る前に佐藤兄妹と片を付けようと焦っているのか―――?
おとぎ話のお姫様・・・・。
ヒロイン役としてミサキが選ばれ、攫われてしまうお姫様役に指名された・・・・。また攫われてしまうか・・・・。おとぎ話では『攫われるお姫様』は定番だけど・・・。痴漢に会った話をした時に佐藤から「隙があるから」とチクリと言われたが、隙を無くす努力はしているのか―――? まぁ数人で来られるからいくら気をつけていてもムリだろうなぁ・・・・。鉄工所では助けてくれた人が佐藤だと気づかなかったが、佐藤を意識し出した今は気づくだろか―――?
おとぎ話のとおりなら・・・・。
『蜘蛛の糸』の話は―――散々悪事を働いて地獄に落ちた犍陀多(かんだた)。しかし蜘蛛を助けた善行があったので、お釈迦様は極楽から地獄へ蜘蛛の糸を垂らしてチャンスをあげる―――という芥川竜之介が書いた短編物語―――。犍陀多は蜘蛛の糸を登っていくが、地獄にいた他の罪人達も蜘蛛の糸を登ってきた事に気づき「この蜘蛛の糸は己のものだぞ。下りろ。下りろ。」と喚いた途端、蜘蛛の糸が切れて再び地獄に落ちる結末―――。犍陀多の無慈悲な心が糸を―――チャンスを切ってしまった・・・・。
スズムシは蜘蛛の糸を登れることが出来るか―――? 慈悲の心があるならば、マツから消されても良い対象として選ばれなかっただろう―――。それにスズムシは追い詰められて判断力も落ちているように見える―――。酷い仕事っぷりになるに違いない―――。どっちみちファブル4人の顔(山岡、ユーカリ、アザミ、洋子)を知って、佐藤明の名前も聞いたスズムシは生かしてもらえるとは思えない・・・・。無慈悲に切り捨てられるだろう・・・・。マツのほうは松の花言葉「憐れみと同情」をしてもらえるのか―――?
山岡は無慈悲に力で脅す事によって、マツとスズムシをパシらせるようになった―――佐藤は慈悲深く力を使う事によって、クロがいつでも助けに来てくれる友人となった―――。佐藤も山岡も殺人を犯した経験がある罪人であり、やり方がおとぎ話になりつつある二人だが―――クロをプロの道から諦めさせようとし―――海老原に力を貸そうとし―――洋子を助けようと動き出した慈悲深い佐藤明が蜘蛛の糸を掴んでミサキを助けるチャンスを掴むだろう―――。
マツが急ぎすぎ!と突っ込むが、漫画本体もムチャクチャ急展開になりました。
この新章冒頭で「佐藤に手を出すな」「俺も佐藤を動かすことはない」の約束事が本格的に破られようとしている。
佐藤のチェックした録画をボスへ転送すればもうここで山岡は掟破りでアウトでしょう。
小島事件の時、実際には省略されたが、佐藤はボスに連絡をとって、面倒な経緯とミサキ救出の計画を説明し実行の許可を得ていたわけで、このままだと同じ手続きで佐藤が動きだすかんじっすね。
ミサキちゃんが気の毒過ぎる。全部の事件に巻き込まれている。車椅子少女事件の時も盗撮盗聴でトイレも覗かれる被害にあっている。
ミサキを攫う時に「痴漢事件」の件が絡んできて痴漢が酷い目にあうような予感が。。。
両親を殺す手先で動いた山岡に復讐しようとする洋子は、今のボスとの関係も壊れて敵になるしかないと思えるがどうなっちまうのでしょうか。。。平和なマグロ住宅暮らしのニュートラルな設定も壊れていくしかないような。。。
ボスが佐藤にお気に入りのナイフを手放して贈ったのは、不穏な布石とも思えるが、ボスの手を離れて「おまえの好きにせい」というメッセージとも読める
小島の件でボスに筒抜けだったのは他ならぬ佐藤が報告してたんですね。飛行機?新幹線?車?移動手段は判りませんが関東から太平市までの移動時間早っ!
正式な五代目襲名の前にファブルへの組長交代を伝達するついでに海老原が正式に砂川暗殺を依頼するかもですね。ボス自ら手を下したりして。
>小島の件でボスに筒抜けだったのは他ならぬ佐藤が報告してたんですね。<
はじめまして、こんにちは。純然な私の勝手な推察です。漫画内では、それについて直接には描写していません。
その根拠となるのは、入院中の海老原の前に現れたボスのセリフです。記憶で書きますが、
「君はアキラに『調べ・情報・報告』を頼んだそうだが、アキラが今何をしてるか知ってるかね」
「詳しい話は佐藤に聞くといい」
たったこれだけですが、『調べ・情報・報告』は海老原自身が言った言葉であり、それを聞いたのは佐藤しかいません。それをボスが知っているということは、佐藤がボスに報告したということでしょう。
「今」していることをボスが知っているということは、事前に計画を知らされていたということで、そして実行中ということは、実行許可を与えるために詳細をボスが知った上で判断するのは間違いないというわけで、上記のような推察をしたというわけです。
はじめまして、レスありがとうございます。病床の海老原に刃物持参でやってきたボスがやたら詳細に把握してたのでてっきり佐藤兄妹を監視してるスタッフが居るものと思ってました。安物のマンガだと最終回に読者が監視者だった、なんてオチがついたりしますが(^^;
実は山岡はマツを殺す気は無いのでは?と思ってます。マツの死体を処理するの面倒だし、生かしておいて都合良く使い続けるつもりなのでは?と。
飲食物を買いに行かせたりとパシリに使ってますが、山岡チームの面々は佐藤との余計なバッティングを避ける為に極力外出を控えて買い物をマツに振ってるのかな、と。
次次号あたりで名も無きキックボクサーVSスズムシの異種格闘技戦になったりして。
山岡は自分の年齢を50〜55位だと言っている。この言い方は明らかに通常では言わない、不自然な表現である。ここから推察するに、佐藤と同じく気づいたら組織にいた、ということではないか。
全然別の漫画で、別の話だが、上條淳士の「SEX」という作品があって、記憶喪失で矢鱈腕っ節の強いユキという男が、実は子供を人身売買で拾ってきて暗殺部隊を作っている組織出身で最強の部類であったというのがある。
なんとなくこれと似たような組織を彷彿とさせる。
で、ファブルに戻ると、漫画内で、「戦後の混乱期に伸びた」とある。それが暗殺業種か、佐藤の属する「組織」かは明言されないが、「組織」だとすると、戦後混乱期は1945年〜1955年とするのが大体の常識であろうから、そこから続いているとすると、現在のボスは先代がいたということになる。。。
戦前戦中戦後から続いているとすれば組織の源流は旧日本軍の暗殺部隊とか研究所とかなんでしょうね。そこは裏設定としてファンブックか何かで作者が語ってくださればいいです(笑)
洋子は並外れた記憶力に目をつけられて引き入れられましたが佐藤はどんな資質に目を付けられたんでしょうね?ゴルゴ13みたいに赤ちゃんなのに何の説明もなく拳銃で誰かを殺害したとか?(笑)
「赤子でも疑え」ってのはそんな事例があったからだったりしてね。
しかし、現在は政府と切れた独立組織らしい。政府の秘密機関なら政治家と契約を結ぶ必要はなく、アゴで使われているだろうから。
山岡の「恐怖を感じない」ってのは、組織に無理やり仕込まれた特性ではないのか、と思えてきました。
であればこそ、マグロ組の抗争を見物して、山岡が生きるための好奇心を満たしたい、という本来仕事と関係ないワガママを、ボスが許したのではないか。
佐藤が「仕事で何人殺そうと俺は平気や」と豪語していますが、15巻まできて、彼がかなり優しく、人殺しは好きではないことは読者も分かっています。71人殺して一応平気で生活できているのは、1巻最初の冒頭から殺人後、お笑い芸人を見て、病的に爆笑するという特性で、殺人行為を緩衝できるような催眠術みたいな仕掛けがあるのではないかと。ボスもちゃんと最初の第1話から「ジャッカル」を把握し、佐藤の仕事ぶりとその後の様子を洋子から報告を受けていました。考え過ぎの妄想かもしれませんが。。。はは
ゴルゴ13では、色々彼の出生の秘密を探る話が沢山ありますが、良く出来たエピソードで、彼の母親らしき人が「彼は優し過ぎて、そのままでは生きていけないような人間でした。今も生きているとしたら、冷たい機械のようになっているでしょう」というのがあります。なんと幼少時のゴルゴは、魚を殺すのにも!!!かわいそうだと涙を流していた!!!のです!!!
本筋と関係無い話題で、おみそ様及び読者の皆様ごめんなさい。
ゴルゴ13のルーツを探る話は色々あって面白いのですがどれもこれもよく出来てますよね。連載開始時にさいとうたかを氏が最終回のシナリオを金庫に保管してもしもさいとう氏が他界した場合はその金庫を開いて作品のピリオドを打つのだとか。しかしファブルのボスが言うところのアナログな手法の暗殺と連載開始時とは時代情勢が違うのでどうなるのかな?と。私の個人的な考えですがゴルゴ13こそ個人名ではなく組織の名前なんじゃないか、と。一匹狼と思わせるのが狙いなんじゃ?と。でなきゃ何十年にも渡ってゴルゴにドッキリを続けてる壮大なトゥルーマンショーとか・笑