【ザ・ファブル】217話「三歩前の男・・・・。」掘り起こされる、黙っている思い・・・・。

佐藤は洋子達と合流するためにミサキをアザミに預けようとオクトパスに着いたが、アザミと社長は留守だった。
アザミはコンビニに出かけた社長を少し離れた所で見守っていた。
山中にある”マツの秘密の墓場”では、山岡を待ち伏せしてバンの中で洋子とユーカリが隠れて待機。マツ・クロが砂川と水野を墓を掘り、スズムシはここに埋葬された仲間に線香を上げていた。
ついに山岡が姿を現したが、バンの中の洋子とユーカリは車のガラスの角度が悪く、発砲できない。
墓参りを済ませたスズムシが山岡と鉢合わせしてしまった。

あらすじ

オクトパス

佐藤はアザミに電話をかける「俺だ―――　今オクトパスに来たんやが・・・　そっちは大丈夫か―――？」

アザミ「あ―――　社長が今コンビニに入って行ったとこや―――　リモコンの電池を買いに―――・・・・」

佐藤「あ―――　わかってる。ヨウコのほうが気になる―――　なるべく早く戻ってきてくれ―――」

アザミ「このまま寄り道がなけりゃ10分で帰れる―――」

佐藤「わかった―――」

電話を切る佐藤「たぶんあと10分で帰ってくる―――」

ミサキ「じゃあ佐藤くん　ヨウコちゃんのほうに行ってあげたら～！」

佐藤「アザミが戻ってくるまで一緒にいるよ―――　大丈夫―――」

山中

クロとマツが墓穴を掘っていた。

クロ「スズムシはいつまで拝んでんねん～　早よ手伝えや！」

そこから少し離れたバンの影で、山岡はスズムシに銃を向けていた。

山岡「し―――――　声を出したら殺す―――！」

山岡はバンの中に入ろうとドアを開けようとしたが、鍵がかかっていた。

山岡「車のキーは？」

スズムシ「キーは・・・　マツさんが・・・・」

山岡「中はどうなってる？　スモークで　この暗さじゃ見えね―――」

スズムシ「し・・・死体が二体―――・・・　他には何も・・・・」

山岡「よしじゃあ行こう―――　そのまま真っ直ぐ――――」

スズムシを前にして、二人はマツ達のほうへ進んでいく。

バンの車内では洋子とユーカリが山岡に狙いをつけようとゆっくり移動していた。

スズムシに気づいたマツ「帰ってきた―――」

クロ「オイ！　スズムシ～　いつまで拝んどんねん～」

スズムシの背後の山岡に気づいたマツとクロ。

スズムシ「うあ～!!」

スズムシは背後にいる山岡に裏拳を放つ。

山岡はガードしてスズムシの膝裏を蹴り、跪かせる。

洋子「ユーカリ　行くよ―――」

マツ（ヨウコ―――　ユーカリ―――　今だ―――!!）　クロ（今だ―――ッ!!）

車内では、洋子がユーカリに頸動脈を抑えられていた。

マツとクロはバンの中の洋子達が動くのを待っている。

山岡「やぁ―――　諸君―――！」

スズムシに銃を向けた山岡「まずは見せしめからだ―――!!」

感想

散歩前の男・・・・。

アザミがオクトパスに帰ってくるまで10分―――。洋子達のほうに向かわず、佐藤はたった10分でも気を抜かず、待機―――。ミサキを一人にしなかった―――。

それを聞いてミサキは嬉しそう～。
佐藤が10分待つことを選んだのは―――プロとして―――？　男として―――？　相手が相手だけに、さらに守る者がいるだけに、いつもの「これぐらいは散歩みたいなもんや～」の気分ではなさそう―――。

佐藤がここから洋子達のところまで車で向かうんだろうが、今の状況で間に合うのか―――？　社長が10分で帰ってきたとしても・・・・。アザミがシャワーを浴びる少し前が22時16分だった―――。だから社長がオクトパスに10分で帰ってきたとしたら、11時ちょっと過ぎたぐらいか―――？　社長と顔を合わせたら会話が長引きそうだし、一緒に飲めとか言われそうだから、顔を合わせずに出ていくんだろうか―――？　洋子達は11時に倉庫を出たから、そうすれば佐藤は間に合う―――？

三歩ぐらい前に進んだ？男・・・・。

山岡に銃を突きつけられたスズムシ―――。バンの中を聞かれ、「中には死体が二体のみ」と、洋子とユーカリの事を言わなかった―――。アレも出たけど―――勇気も出せたな～。スズムシ、少しは成長したか―――。

でも山岡は、こんな山奥で中には死体があるだけなのにいちいち車に鍵をしている事に引っかからなかったのか―――？

歩を転じた男・・・・？

洋子とユーカリは山岡を撃てるチャンスなのに―――ユーカリが―――!?　洋子の頸動脈を抑えている―――ッ！　洋子の瞳孔は開いてしまっているなぁ―――・・・・。ユーカリは佐藤達側のフリをして、実は山岡と繋がっていた―――？

ユーカリの今までの言葉を信じるなら―――洋子に撃たせたくなかった―――？　でもユーカリが先に撃てばいいはず―――。

今までユーカリの行動が怪しい？というところはあったが―――

3歩前ならぬ、3話前の214話で―――
GPSを見つけた洋子が「アタシ達も行くわ―――」

ユーカリの反応は乗り気じゃない―――。そもそも「車にGPSがあるかも」と洋子達が探し出した時もユーカリは手伝っていなかった―――。洋子からアドバイスを求められて渋々言ったような感じがした―――。

海老原から「洋子とミサキを守ってくれ」と言われた時―――

ユーカリは返事をしなかった―――。これは、今まで誰かを守ることをしたことが無く、山岡から守り切る自信が無いからハッキリ返事しなかったと思っていたが―――・・・・。

洋子の家にいる時―――
洋子の家の監視カメラの位置を佐藤に聞いていた―――。監視カメラを排除しようとしていた―――？　ユーカリが何か工作しようとしても出来ないから排除しようとしていた―――？

クロとのビリヤードは―――
別のことが気になっていたから集中できなくて、ボロ負けした―――？

でもユーカリにどこかおかしい素振りがあったら―――カンのいい佐藤なら何か気づいていたはず―――。その佐藤が「洋子のほうは大丈夫」と言っているから裏切ってない―――？

それに完全に山岡と繋がっていたなら、ユーカリの銃にはサイレンサーが付いているから洋子を撃っても外のマツとクロにはバレないはず―――。なのに撃たなかった―――。

なにより、山岡とユーカリが通じていたら―――山岡はそれを発表してマツ達の反応を見たがるはず―――。騙していたことをバラして驚いた顔を見たいはず―――。それがないので山岡とユーカリは繋がっていないだろう―――。

三方向の考え・・・・。

じゃあなぜユーカリは洋子を気絶させた―――？

洋子に殺しを経験させたくなかった―――？
ユーカリは洋子に頭や心臓を撃てとアドバイスしたから殺る気はあるだろう―――。でもバンの中で引き金に指をかけて今にも撃ちそうな洋子を抑えていた―――。ユーカリの真意は洋子に殺しをさせたくなかった―――？　俺が殺るからと言っても洋子にとっては両親の仇―――。言って止まりそうにない、口論している暇は無い―――。だから気絶させた―――？

山岡に人質を取られていた―――？
マツのようにユーカリも身内を人質に取られていて、居場所を聞きたいから洋子に撃たせないようにした―――？　でもそんな感じは無かったな―――。山岡の命令にユーカリは乗り気だった―――。

山岡の最期は自分が看取りたいから―――？
山岡を捕らえる命令を受けていたとバラしたアザミは、山岡を”さん”付けで呼ばなくなっている―――。でもユーカリは山岡に狙われるようになっても山岡さんと呼んでいた―――。山岡にまだ未練があるのか―――？　それともそれだけ世話になっている人の最期は俺が―――という考え―――？
アザミは山岡に「引退する気は無いのか？」と聞いて、もう無理だと納得しただろう―――。でもユーカリは、いつかはこうなるだろうと思ってはいたが、ハッキリとは聞いていない―――。答えをハッキリと聴きたいのか、俺が説得すれば考えを改めるかもと思っているのか―――？
もしくは小さい頃から訓練を受けたから、山岡を親のように思って依存してしまっているのか―――？

ユーカリは山岡からの命令を受けて嬉しがっているような感じがしていた―――。山岡が真黒組をオモチャにしようと動いていた時―――アザミはボスからの命令があったので、従うフリをしていたが―――ユーカリは普通に手伝っていた―――。ユーカリの本心は山岡に付いていきたいんじゃないだろうか―――？

・洋子に殺しをさせたくなかったのか―――
・山岡に付いていきたいから、山岡が知らないところでの勝手な行動なのか―――
・山岡と通じていたのか―――

もし山岡と通じていたら―――今までそんな気配はなかったから、ユーカリは佐藤以上に気配が消せる男となるな―――。

洋子に殺しをさせたくないが本命だと思うが―――洋子の頸動脈を抑えている時、ユーカリの悲しげな表情が気になる―――。不殺洋子良し、山岡確保良し、リスト者無事良しの三方良しとなるのか―――？　ユーカリが他より三歩前を行って今の状況をどうにでも導ける立場だが、どこへ歩を進めるのか―――。