双亡亭内で取り憑かれた人達に囲まれた凧葉達。
双亡亭の外にまで運ばれた液体窒素をアポーツで引き寄せようとするフロル。
しかし大量の液体窒素を引き寄せるとフロルの身体が持たないのかも知れないのであった…
あらすじ
螺旋階段で取り憑かれた人達に囲まれている凧葉達。
テレパシーを飛ばすフロル(皆さん、<窒素>をこれから引き寄せます! ここに運ぶのは材質がアルミニウムとステンレスで出来ている容器。中には液体窒素が各々50リットル入っています。それを破壊してここを窒素で満たせば、この敵はみんな溶けるのでしょう!?)
アウグスト博士「いかんフロル!! 体力のもともと乏しいお前が、今そんな大量の『物質現出』をすれば死ぬぞ!」
凧葉「…今、ダイ…って言わなかったかよ?」(フロルは英語しかしゃべれないので博士は英語で喋っている)
宿木「ああ…フロルがアポーツを強行したら死ぬらしい…」
アポーツを使おうとしているフロル「博士には感謝しています。私をあんな家から連れ出してくださって… これでようやく私の『窓』から…私だけのキレイな空が見える」
アウグスト博士「やめろフロル!」
宿木「でも博士、このままでは我々は全滅です! フロルにやってもらうしかない!!」
凧葉「ちょっと待てよフロル! あんたが死んじゃうならやめとけよ! きっと別の方法があるだろ~!」
集中しているフロルの肩に触れる凧葉。凧葉にフロルの過去の記憶が流れ込んできた。
フロルの過去
フロルはアポーツ能力のせいで周りからだけでなく、両親からも気持ち悪がられていた。
その能力に目をつけたアウグスト博士と出会い、実験に協力するようになる。
アウグスト博士「フロル、私の養女になる手続きが終わった。その方が、実験をするのに都合がいいからな」
フロル(私は博士が喜んでくだされば、ここにいられる… 数値が良ければ… 実験の結果が一定で、再現性があるほど… 私の窓に色がついてゆく…)
フロルの意識内
フロル「タコハさんが、集中している私に触れてしまったので、私の思念が伝わってしまったのですね」
凧葉「そんなコトよかフロルちゃん、アポーツを使ったら死んじゃうんだって!? やめろよ! やめてくれよ!」
フロル「コメンナサイ… でも タコハさん… 私、やるわ… 博士が必要としてくださらなかったら、私は生きていなかった… 私は本当に感謝しているの… タコハさんに助けてもらわなかったら、やっぱり私は死んでいた… あの時 私はタコハさんの心に触れたわ。とっても温かだった… もっとおしゃべりしたら… もっとキレイな空が見れたかもしれない…」
フロル「私にしかできないことをすることで、私はタコハさんと博士を助けることができるの… 私の窓にはもう、とっても青い空が見えかけているの… だから… 邪魔、しないでね。」
双亡亭の傍
双亡亭の傍では緑郎の熱意ある頼みで心を動かされたトクナガ理研の竹田が同僚の今井とともに、液体窒素を乗せたトラックを双亡亭の敷地内へと走らせていた。
双亡亭に近づいたトラックが振動を始める。
再び双亡亭内の凧葉達
アウグスト博士「ヤドリギ、他の者もよく聞ケ! たとえフロルが<液体窒素>を自分の命と引き換えに運んデモ、ここで一気に容器を破壊したら大変なコトになるのだゾ! 一気に沸点に達した液体窒素がガス化して、数百倍に膨張する! それは爆発に近イ! それに窒素は辺りの酸素を押しのけ低酸素状態を作り出ス! ここで爆発に巻き込まれタラ、我々は窒息してしまうのダゾ!」
それを聞いたフロルは螺旋階段の中央の吹き抜けに身を投げ出す。
落下中に液体窒素が入った容器を引き寄せるフロル(私…やったわ… タコハさん… なんて…キレイな空。)
感想
螺旋階段で取り憑かれた人達に囲まれた凧葉達。
なんだよこの数! どれだけの数の人間を取り込んでるんだ?
こんな時でも「あらあら」と言うジョセフィーン=マーグ。
汗をかいているのは疲れているからなのか、それともフロルの言葉を聞いたから? 今回のフロルみたいにジョセフィーンがこうなった過去も語られるんだろうか。
誰かに必要とされるべし
博士に拾われて必要とされたからここまでやるんだな。フロルが凧葉に助けられた後、博士が危ないと知って走り出したのもこれがあったからか。
能力のせいで阻害され、悲惨な過去だったのは鬼離田姉妹と被る。鬼離田姉妹は互いで寄り添いあい、無理やり笑顔になることで誤魔化してなんとか生きていた。フロルにはアウグスト博士がいた。
博士のほうも、フロルがアポーツを使うと聞いて止めようとした。助かる道はこれしかなさそうなのに止めるなんて、けっこう根は優しいのかな? マックスを倒したときも「ようやく孫ができたんだろうが… バカめ…」と言いながら悲しそうな顔をしていたし。厳しくも優しい人なのかな?
フロル助かるべし
フロルは英語で喋っていて、凧葉とは会話できなかった。でもフロルの思念が伝わると会話ができた。思念だから言葉が分からなくても伝わるんだなぁ。でも話し合ったのがこれが最後…とかなったら… フロルもようやく窓に映る景色がキレイな空になったのに…
フロルはもうダメなのか?
体力が少ないなかで能力を使って液体窒素を引き寄せたし、引き寄せた場所も落下するフロルの真上だし…
凧葉の”黒い手”でなんとかフロルだけ救出できないだろうか? 思念で話し合って過去を見たのがフリだと思うけど、ここまで死ぬとふってきたのもあるし… でも凧葉の黒い手は”引き寄せる”んじゃなくて”運ぶ”だからフロルの所に行って帰ってこないといけないし…
容器は落下の衝撃で壊れるのかな? 鬼離田姉妹の長女の菊代が鬼神を使ってキャッチしたりして。